SNSに投稿された悲痛な叫び。
大切な資産を一瞬にして失う被害の訴えでした。
内容は「母の証券口座が不正ログインによって損失を被りました」というもの。
今、こうした不正ログインによる証券口座の乗っ取り被害が急増しています。
「イット!」が取材したのは65歳の母親が被害に遭ったという男性。
始まりは、証券会社を語るメールだったといいます。
母親が証券口座乗っ取り被害:
(母親の元に)偽メールがきて、偽サイトに誘導されて、氏名と住所を入力した。証券口座のログインIDとパスワードは入力してなかったが、不正ログインされてしまった。所持している株を全部売られて、新しい株3銘柄を売買された。
証券口座を乗っ取られ、勝手に株の売買をされたというのです。
取引画面を見てみると、勝手に売られた株がずらりと並んでいて、最大172万円の損失が確認できます。
そして、最終的な被害額は…。
母親が証券口座乗っ取り被害:
(Q.被害額は)(売られた株)1150万円。勝手に買われたのが650万円ぐらい。(売買合わせて)1日だけで1800万円。
被害に遭った男性の母親がもともと持っていた株の総額は購入時の金額で2850万円。
しかし何者かに証券口座を乗っ取られると、勝手に売却され約1150万円損失。
その後、売却して得た金を元手に別の日本株を購入。
被害に気付いた女性はすぐさま売却したものの、約650万円の損失となり、合わせて1800万円の被害となりました。しかし…。
母親が証券口座乗っ取り被害:
(証券会社は)そういうものは一切補償しないと。被害者に対して“救済措置”みたいなものがあればな。
証券会社からは一切の補償を受けられず、警察に相談したということです。
証券会社を装ったメールや偽サイトに関する報告は、3月から4月8日の間で1万7600件と急増。
証券口座の乗っ取りの狙いとは。
まず犯罪グループは自らの資金を使い、少しの取引でも大幅に株価が動く「取引量の少ない低価格株式」を購入。
その上で、他人の口座に不正アクセスし、乗っ取り。
その口座を使って株式を大量に購入します。
こうして株価をつり上げたところで自らの株を売却し、不正に「利益」を得ていたとみられます。
多発する“証券口座の乗っ取り”にどう対策すれば良いのでしょうか。
元警察庁サイバー捜査課長・棚瀬誠さん:
(偽メールの)メッセージにリンクが貼られていれば、いったん踏みとどまって、ブックマークしてあるいつものリンクから(正規の)ECサイトに入っていく。(証券会社や金融機関に)電話して、正しいメッセージか確認することが大事。