想定を超えるスピードで進む人口減少。待ったなしの「最重要課題」について考えます。
かつてなく危機感が強まる富山県氷見市で何が起きているのでしょうか。

今年2月、市制施行以来、初めて人口が4万人を割り込んだ氷見市。
1950年代の7万人をピークに減少に転じ、1990年代に6万人を下回ってから5万人を切るまで20年、それ以降10年あまりで4万人割れ。

幼稚園の理事長、冨樫克哉さんです。
過去の卒園アルバムを手に、加速する人口減少を実感していました。
*アソカ幼稚園 冨樫克哉理事長
「全体の2割か3割しか氷見市内に残っていない」
氷見市を含む全国の消滅可能性都市が公表された10年前。

国を挙げた人口減少対策が始まり、「地方創生元年」と言われました。
当時、冨樫さんはまちづくりを考える市民ワークショップにPTAの立場で参加。
若者が市内に定着するには、子どもを産み育てやすい環境づくりが必要だと訴えました。

*冨樫克哉さん(当時)
「自分が育ってきたようなところで育ててやりたいし、このまちを守ってほしいなっていう思いはある。このままじゃ、本当になくなっていくんじゃないか」

*(去年Uターン就職した)大森聖也さん
(Q)都会に出た友達はなぜ戻ってこない?
「働く場所の少なさ…」
*(おととしUターン就職した)杉本奈音さん
「一番は働く場所の確保と住みやすさ、もう廃れていかないことでは」
どうしたら若者が地元に戻ってくるのか…。

氷見市内の企業が人口減少を食い止める挑戦を始めています。
氷見伏木信用金庫。
新卒採用のほぼ全員が地元出身者でUターン就職です。
そのために初任給を上げました。

*氷見伏木信用金庫 西川峰雄常務理事
「(人口減少を少しでも食い止めるため)初任給を今年また上げた」
*富山ドリームス 徳前紀和代表理事
「それは先人が築いた財産その財産をいかして富山に来たい人たちを呼び込むために、富山ドリームスというチームを結成した」
2022年に創設された日本ハンドボールリーグに加盟するハンドボールチーム「富山ドリームス」。

本拠地を氷見市に置き、所属選手が働く企業を市内などで確保し、これまで40人近くの移住に貢献しています。
*富山ドリームス 徳前紀和代表理事
「ほとんどの選手は移住して、こっちに根付いている。結婚して子どもをつくった選手もいるし、I ターンが定着するきっかけにスポーツがなるということを目指している」
人口減少の食い止めに期待される移住促進。
しかし、去年の元日に発生した能登半島地震が暗い影を落としています。


*氷見市IJU応援センター 藤田智彦マネージャー
「市内だけじゃなく能登からも利用があるということで、移住者が探せる家の選択肢がかなり少なくなって、結果として昨年度の移住者数は大きく減る形になった」
能登半島地震前、年間200人近くで推移していた移住する人の数は、去年半減しました。

要因は、地震の影響で自宅に住めなくなった被災者が市内のアパートなど賃貸物件を借りたため、移住を考える人に回らなくなっているためです。
*氷見市IJU応援センター 藤田智彦マネージャー
「移住者数は減ったものの、問い合わせ件数は過去最多という形で、それでもなお関心を持っていただいているということなので、その人たちに使っていただける空き家というのを十分に提供できれば、また人の流れは戻ってくると思う」
地震からの復旧、復興に取り組む氷見市。
去年就任した菊地市長は、危機感をあらわにしています。
(4月1日の訓示)

*菊地正寛市長
「人口減少によって起こり得る地域活動や地域経済の衰退など重要課題に切れ目なくオール氷見で対応し、活力と賑わいのある氷見を創造していかなければならない」
氷見市は今年度、組織を再編し、地方創生と移住を担当していた2つの課を統合し、人口減少対策を強化します。
オール氷見を合言葉に人口減少に対応したまちづくりの新たなビジョンを年度内に策定する方針です。
*菊地正寛市長
「子どもを増やすこと外から関係人口を交流人口として、いろんな方に来ていただいて氷見の活力をさらに盛り上げていく」

人口減少、超加速社会。
自治体の対応もさらに加速させることが求められています。