大阪・関西万博が4月13日に開幕します。福井からは、県内で作られた水素の一部が、万博会場周辺で運行する水素燃料電池船の燃料として供給されます。次世代エネルギーでのビジネスチャンスをうかがう県内の動きを取材しました。
吉田圭吾アナウンサー:
「1月に開業したばかりの大阪メトロ夢洲駅です。大阪・関西万博の最寄り駅となります。各国の国旗が並ぶ中、目の前に会場への入場ゲートがあります」
4月13日に開幕する大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、160を超える国や地域が出展。現在は急ピッチで工事が進められています。
福井県の展示ブースは、最寄り駅・夢洲駅から徒歩5分程の場所にある「関西パビリオン」にあります。白を基調とした関西パビリオンの中には、福井を含む8府県の常設ブースがあります。
「恐竜王国福井」と題した福井県ゾーンでは、懐中電灯型のデバイスを使ってバーチャルの化石発掘を体験できます。デバイスから出る赤外線を壁や天井に当てることで、バーチャルの恐竜化石が浮かび上がります。
また、高さ4メートル、幅5.5メートルのスクリーン4面に囲まれた「時空の旅エリア」では、恐竜をテーマにしたVR映像が流れ、約20分で3つのエリアを楽しむことができます。
また県は、7月16日を「恐竜王国福井DAY」と題し、県の魅力をPRする予定です。
そんな中、万博を将来のビジネスチャンスととらえる県内の動きもあります。
吉田圭吾アナウンサー:
「おおい町で作られたクリーンなエネルギー、水素が大阪・関西万博に届けられます」
2025年3月、県内の企業でつくる「ふくい水素エネルギー協議会」がおおい町に水素ステーションを整備しました。ここで作られた水素の一部は、万博会場周辺で運行する水素燃料電池船の燃料として供給されます。
55年前の大阪万博では、関西電力が県内の原発で作った電力を会場に届けました。今回も、万博を通して福井から新たなエネルギーの可能性を発信します。
ふくい水素エネルギー協議会・海道雅俊さん:
「まずは実証設備として設置されたが、万博後も産業発展や街の振興につながってほしい」
水素は燃焼しても二酸化炭素を出さないため、クリーンなエネルギーとして期待されていますが、ガソリンなどの燃料と比べて、価格は最大12倍と試算され、コストが課題となっています。
そのため、国は水素の製造インフラの整備を進めたり輸入を強化したりと、2030年までに価格を3分の1にする目標を示しています。ふくい水素エネルギー協議会の海道さんは「時間がかかってでも、水素を作って供給して使ってもらうことで、ビジネスチャンスが生まれると感じている」と話します。
新エネルギーである水素の活用は、現状では、日常生活での実感は難しいものの、大阪・関西万博では、世界初の水素で発電して動く自動販売機や水素を燃料の一部に使ったバスもお披露目されます。将来のビジネスを見据える上でも、意義深いイベントになりそうです。
また県は、4月1日、水素のサプライチェーン構想を発表。2035年頃には国内での需要も拡大し、県内ではテクノポート福井や敦賀港周辺で年間6000トン規模の導入を目指すとしています。脱炭素社会の実現が急速に求められる中、ビジネスにおいても水素の存在感がますます増していきそうです。