想定を超えるスピードで人口減少が進行しています。
まさに待ったなしの人口減少問題、この最重要課題について考えます。

富山県の人口は高度経済成長に伴い、増加を続けピークの1998年には112万人でした。
しかし、そこから減り続け、去年4月初めて100万人を割り込みました。
国立社会保障・人口問題研究所は、今後、減少のスピードは増し、25年後の2050年には76万2000人になると推計しています。
この人口減少の大きな要因が少子化、子供が生まれない状況です。
去年、県内で生まれた赤ちゃんの数は5427人。
前の年から432人減り、12年連続で減少しました。
この春、この「現実」を目の当たりにする事態が起きました。

「0.99倍」。今年の県立高校全日制一般入試の平均志願倍率です。
募集定員に、受験者数が達しない事態。
記録が残る1999年以降、初めてのことです。
定員割れとなった高校は全体の6割以上となりました。
*富山大学 大学院 教職実践開発研究科 林誠一教授
「いちばん大きいのは、中学校を卒業する生徒数がどんどん減ってきていること」
県内の教育事情に詳しい富山大学大学院の林誠一教授です。
少子化で、生徒、児童が減っていく実態を注視しています。
さらに、林教授は、志願倍率が1倍を下回ったことについて、少子化に加え、別の要因もあるとみています。
*富山大学 大学院 教職実践開発研究科 林誠一教授
「それ(生徒数減)に対して、枠(募集定員)をそこまで狭めていなかったことも、もちろんあるが、一方で外へ出ていく生徒も少しずつ増えている。要するに『県外』」
少子化という「自然減」に加え生徒が県外へ出ていく「社会減」のダブルパンチ。
林教授は、こうした実情を踏まえた上で、県立高校の「魅力化」が必要だと指摘します。
*富山大学 大学院 教職実践開発研究科 林誠一教授
「本当はやりたいことがあるのに『成績だけをみて進学する』ではなく、『やりたいことがあるからそこへ行きたい』という思いは僕はすごくいいなと。」

*富山大学 大学院 教職実践開発研究科 林誠一教授
「“高校のあり方の議論”も単に『生徒数が減っているから』ではなく、子どもたちがやりたいことをやれる環境をつくってあげるのが大事かなと。いろんな子供たちに対応できる、県立全体として、『こう(教育)しますよ』というメッセージを出す必要はあるなと思う」
県立高校の志願倍率の数字に、自然減と社会減が複合的に人口減少につながっている実態が見て取れますね。
児童、生徒、学生を含め、若い世代の県外流出は将来に向け、特に人口減少問題を考える上で重要になってきます。
こうした中、県教育委員会は今年度、県立高校の再編の議論を本格化させます。
このほか、新年度は様々な分野で対策を取っていくことが求められます。