クリアンは、旅館やホテルなどの宿泊施設に特化したWebアンケート制作サービス。従来の紙アンケートをWeb化して運用。毎月集計レポートを制作してクライアントにお届けする。一見すると「なぜ有料サービスとして?」「なぜあえて宿泊アンケート特化で?」と様々な疑問がわきそうなクリアンのサービス。このストーリーでは、その必然性や背景・ルーツについて話を聞きました。
配る側、書く側にとってやっかいな存在になりがちな”宿泊アンケート”
「宿泊アンケートは双方にとって『めんどうなもの』になりがちだと思うんです」
代表はそう語った。詳しく聞いてみると、こういうことだ。
周囲の知人に尋ねてみると、宿泊アンケートに答えたことのある人はほとんどいなかった。Webで意識調査をしてみたが、実に約6割が回答経験なし。
59%が「回答したことがない」
2023年1月「宿泊者アンケートの意識調査」クリアン調べ
宿に泊まってみても、アンケート回答への積極的な働きかけはあまり見かけない。時にはアンケート用紙がホコリをかぶっていることも…。
「お宿の方とお話をしていると『アンケートを置いてはいるけれど集計が大変で…』というお声もよく聞きます」
配る側、書く側。その両方にとってやっかいな存在になりがちな宿泊アンケート。これをどうにかできないか、というのが冒頭の「なぜ?」に対するひとつの答えだった。
きっかけは旅先で目に留まった宿泊アンケート「これ、もっと良くできないかな?」
少し話を戻そう。クリアンは2021年にサービスを開始した。それまで一般企業で勤務していた代表が会社をやめ、個人事業主として転身した理由についてだ。
「家族の体調不良があり、介護が必要になりました。会社勤めでは色々と不便が大きいので、家でできる仕事を、と考えました」
必要に迫られての決断。大きな覚悟が必要ではなかったか、と尋ねる。
「自分のこと、家族のこと、これからのこと。すべてを考えあわせたときにごく自然と出た答えなので『やむをえず』という意識はなく、抵抗なく決めることができました」
そして自身の経験とスキルを活かしつつできることを探す日々。そんな中、気分転換を兼ねて、たまたま家族で訪れた温泉旅行。そこで目に留まったのが宿泊アンケート。
これ、もっと良くできないかな?
そんな思いが代表の頭をよぎった。
クリアン代表 Taguchi Yusuke
お客様の声が「貴重なご意見」と呼ばれるワケ
冒頭でもふれたように、宿泊アンケートは双方にとって面倒なものになりがちである。しかし代表は「お客様の声を集めること」の重要性をかねてから強く実感していた。
というのも彼がカスタマーサポートの業界に長年身を置いていたためだ。
代表はこう語る。
「お客様の声を集めることの大きな効果は2つあります」
- お客様の声によって商品の「品質」が向上する
- お客様の声によって「やりがい」を手に入れる
話にはそれぞれ続きがある。1は、品質の向上によりお客様はより価値のあるものを手に入れられるようになる。2は、スタッフのモチベーションが上がり、サービス向上につながる。いずれも「お客様満足度向上」に結びつき、「お客様の声がお客様に還元される」という好循環を作り出す。
「宿泊アンケートに関しては、これがうまく回っているように感じられなかったんです。それが問題であるというよりは、もっと良くなる可能性を発見したという感じです」
アンケート好循環のイメージ
趣味はアンケート集め。「効果的な設問」に思いを巡らせる日々
代表がこのサービスの準備としてまず始めたのが、とにかくアンケートを「収集」することだった。
ファミレス、ラーメン店、洋菓子店、定食屋。
美術館、博物館、植物園、図書館。
医院、薬局、ドラッグストア、スーパー。
旅館やホテルだけでなく、様々な業種や業態。「Web」アンケートだけではなく「紙」アンケート、時には「口頭」のアンケートまでも。気の向くまま、足の向くまま、まさに「手あたり次第」にアンケートを収集し、質問方法やレイアウトを研究した。
「繰り返しやってみると気づくことがあります。とても心地よく回答できるアンケートや、ついつい本音を書いてしまうアンケートというものがまれにあるんです。それはきっと、偶然そうなっているわけではなく、綿密な工夫がほどこされている。そんな風に感じました」
代表自身がカスタマーサポート時代に培ってきたお客様心理の経験則。これを踏まえつつ、そこに施された工夫に思案を巡らせる日々が続いた。
このときの思案は、後述する「効果的な設問」につながっていく。
収集してきたアンケート
思わぬ強敵、”無料で作れるアンケートフォーム”との差別化で付加価値を
次の準備作業として代表が行ったのが、無料アンケートを知ることだった。
Webアンケートが世に浸透しつつある今、無料で作れるアンケートフォームも多々ある。
「今、紙のアンケートをされているお宿が、Webアンケートを始めようとした場合…まずは無料のものを検討するのではないか。そんな想像をしました」
代表は、無料のアンケートを体験してみることにした。
その感想はと言えば…
「困ったことに、予想以上に使いやすかったです」と笑いながら答える。
使いやすかった、と笑う代表
第一印象は「これ(無料のもの)で事足りるのではないか」だった。しかし、詳しく検証を続けていくと、いくつか気になる点が見えてきた。
サービスによって差異はあるものの、主なポイントは以下の3つだ。
- グラフが簡素である
- 単純集計しかできない
- 広告が表示される
まず、グラフが簡素すぎて「どこをどう見れば良いか」がわかりにくいこと。アンケートレポートは「考えなくともわかる」のが理想と考える代表にとって、これはデメリットに感じた。
次に、単純集計のみである点。少し専門的な話になるが、アンケートの真価はクロス集計で発揮される。クロス集計とは、属性との掛け合わせで集計する方法である。「商品Aの満足度」は単純集計、そして「商品Aの年代別の満足度」がクロス集計である。
単純集計の例
クロス集計の例
※年代で満足度にばらつきがあることがわかる
最後に、広告が表示される点。無料のアンケートは何らかの形で収益を上げる必要がある。その代表的なものが広告料だ。しかし、お宿にとっても宿泊客様にとっても不要な広告は表示されないに越したことはない。
「この3点を適切にカバーできるサービスなら、有料でも十分選んでいただける。そう考えました」
そう代表は語った。
クリアンが提供する3つの価値、サービスの質をさらに磨く
準備を重ねることで、磨くべき価値が具体的になってきた。
- 効果的な設問の考案
- クロス集計とグラフの見やすさ
- まるごと任せられる手軽さ
まず設問について語ってもらった。
「お客様の本音って、実は簡単には集まらないんです。たとえば、カスタマーサポートの場面で『お問い合わせ内容をお聞かせください』と尋ねると、口ごもってしまうお客様がいらっしゃいます」
これを避けるため、代表は次のような問いかけ方を準備していたという。
『お困りごとを教えてください。どうぞ、ご自身の言葉で、ゆっくりで大丈夫ですよ』
このように呼びかけると、意外にもスムーズに話していただけるそう。
この発想で設計することで、負荷をかけずに心地よく回答していただけるということだ。
次にクロス集計とグラフについて尋ねた。
「たとえば『このデザートが人気でした』という集計結果だけだと、落とし穴があるかもしれません。実は、回答者のほとんどが女性で、男性の方々にはさほどでもなかったということも…。これを防ぐためにクロス集計を併用します。大切なのは、クロス集計の重要性を知っていただくことだと思っています。『アンケート』は広く知られていても『クロス集計』は、言葉としてそれほど浸透していませんから」
そして見やすいグラフの制作については、パートナースタッフの手を借りる。パートナーは、大手企業の販促資料作成とアンケート集計の両方の経験を持ち、「一目で理解できる資料作成」のプロフェッショナルだ。
単純集計で見る抹茶アイスの満足度
クロス集計で見る抹茶アイスの満足度
最後に、手軽さについて聞く。これは、ここまで触れられてこなかった要素だ。
「Webアンケートはとても便利なツールですが、実のところ…不慣れだとわずらわしく感じる部分も多々あります」
代表が具体的に挙げたのは、次のような点だ。
- アンケートシステムの選定 ※コスト・品質の見極めなど
- サーバーの稼働監視 ※システムが常に動いていること
- 設問の考案 ※聞き方・順序・選択肢などの策定
- 月次集計 ※毎月必ず発生する作業
- 集計結果のとらえ方 ※どう見てどう活かすか
「これらをすべて引き受ける。お宿は二次元バーコードを置くだけで良い、という状況を作ることが、ひとつの価値になると考えています」
無料提供によってサービス価値の実感を
価値を磨くことと併せて代表が推し進めたのが「価値を知ってもらう試み」だった。
具体的には、以下の2つだ。
- 既存の紙アンケートをWeb化して回答体験してもらう
- 既存のアンケートを「プロの目」で見て添削をする
いずれも無料で提供することにした。
1はそのまま実運用に移行し1ヶ月稼働させることが可能だ。
2は「聞き方」「順序」「選択肢」が「聞きたいこと」に対し適切になっているかを添削しアドバイスする。
「実際にやってみるとどちらも好評で、特に添削については『目からウロコでした』というお声もいただいています」
アンケート添削のイメージ
そして、サービス名が決まった。サービス名は、クリアン。
クリアンのロゴ
まるで和菓子屋のような名前だが、その由来は「クリエイティブ・アンケート」。
創造的なアンケート。ファンを創造し、サービスを創造し、未来を創造する新しいアンケートを提供する、という思いを込めたネーミングだった。
「人と人をつなぐシステム」を目指して、クリアンの挑戦は続く
最後にクリアンのビジョンについて尋ねた。
「『アンケートは面倒なもの』。このイメージの払しょくに尽きます」
代表は熱っぽく語る。
宿泊客様にとっては、思いを伝えるホットライン。次に来館したときにより良い体験ができるためのコミュニケーションツール。
お宿にとっては、お客様からのお便りポスト。そして施設をバージョンアップしていくための貴重な情報源。
「お宿にとっても、回答される宿泊客様にとっても『アンケートっていいものなんだよ』ということを伝えていきたいです。それが浸透し、できることならいつか『アンケートがすごく役立つ? それって常識だよね』なんて言われるくらいになるといいな、と思っています」
クリアンが目指すのは、お客様の声がダイレクトにお宿に届くこと。いわば「人と人をつなぐシステム」。
クリアンの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
未来を語る代表
information
冒頭の「配る側、書く側にとってやっかいな存在になりがちな”宿泊アンケート”」に登場した宿泊アンケートに関する意識調査は、こちらのコラムで読むことができます。
「答える人」のホンネ~宿泊者アンケート意識調査リポート 前編
「答えない人」のホンネ~宿泊者アンケート意識調査リポート 後編
「価値を知ってもらう」に登場したWeb化とアンケート添削の無料体験はこちらからお申し込みいただけます。
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