身に覚えのない「+94」から始まる電話番号から着信が来た経験はないだろうか。

5月15日に着信が来た人に話を聞くと、電話にはでなかったというが、「どこからか番号が漏れちゃったんだろうなと思います」と話した。
家族に着信が来た人は、「ちょうど朝、母と兄にかかってきたって言ってました。兄はスリランカからって言ってましたよ」と証言する。

実は、「イット!」のスタッフにも「+94」からの着信があり、その発信元には、スリランカと表示されていた。
実は今、インド洋に浮かぶ島国のスリランカからの着信が相次いでいるという。

そのワケについて、ITジャーナリストの三上洋氏は、「『国際ワン切り詐欺』と呼ばれるものです。わたしたちが折り返して電話をしてしまう、その国際電話料金の一部をもらおうとしている詐欺なんです」と推測する。

三上氏によると、「国際ワン切り詐欺」とは電話を1回鳴らして切り、着信履歴を残し、相手から国際電話をかけ直させる手口のこと。三上氏は、「日本の電話会社と海外の国際電話会社がつながるわけですが、ここでこの料金の一部を海外のつまり、現地の携帯電話会社に一部払う接続料という仕組みがあるんですね」と説明する。

この接続料の一部が、犯罪グループに支払われる仕組みだという。

「+94」から始まるスリランカからの着信について取材を進めると、スリランカ以外の国際番号からかかってきた人も見つかった。

過去にフィリピンやアメリカから7回着信が来たという人は、「めっちゃかかってきてます。フィリピンとか行ってないので、アメリカも行ってないです」と行ったこともない国から相次いで着信したと証言した。

実はこれまで、特殊詐欺などの犯罪グループは「050」から始まるインターネット回線を利用したIP電話を多用する傾向があった。
しかし、IP電話の契約時に本人確認が義務化されると、今度は「+」から始まる国際電話が増加していた。

そこで「イット!」は、犯罪グループ特定のため、スタッフに着信のあった「+94」から始まる番号に電話をかけてみた。

聞こえてきたのは、「現在使われておりません。もう一度おかけください」という英語の自動音声。しかし、「もう一度かけて」という不審な音声もあった。

ITジャーナリストの三上氏は、こうした詐欺電話の対策として、「『+』がついた国際電話からの着信は一切出ないこと、折り返さないことが重要。もし、仮に折り返してしまうと、高額な国際電話料金を負担させられます。折り返さないように注意」と呼びかけた。