鹿児島市の認定こども園で、2歳の男の子の首を切りつけたとして、21歳の保育士の女が殺人未遂の疑いで逮捕・送検された。

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9日に送検されたのは、保育士の笹山なつき容疑者(21)。勤務する鹿児島市の認定こども園で、2歳の男の子の首を刃物のようなもので切りつけ殺害しようとした疑いで8日未明に逮捕された。守るべきはずの園児に、なぜ保育士の女は刃物を向けたのか。

「2~3秒の出来事」

事件があった園では9日午後4時から緊急保護者説明会が行われ、終了後、園側の代理人弁護士が取材に応じた。

「こちらが把握している事実関係等の話はさせていただきました。マスコミ報道でないところでいったら当時4人ぐらい…子供さん、もうちょっと数がいたという話で。(事件現場)玄関口だったという話とか。時間的にも他の人が見ていて、たった2~3秒の出来事で、血が流れていたと。誰もそれは見ていない。警察から防犯カメラを見たけど、そういう決定的なシーンはなかったという話。学園サイドとしてもかなりびっくりしているというような事実関係の説明をさせていただきました。
(独自に)調査委員会を立ち上げます。調査委員会の方で事実関係の調査、原因究明、それでその後の再発防止を検討し、それを学校側にも保護者の方々にも提案していこうという話になってます」

――保護者の方は納得されている?

「ある程度は納得されたんじゃないですかね」
「保護者の方もこれで説明が終わりというふうには思っていらっしゃらないので、こちらとしても保護者の方の質問を再度受け付けして、また、それに対して答えていくというようなことは考えております」

一方、園に子どもを通わせている保護者は不安をあらわにした。
「不安は不安だよ。こんなことがあったらだめでしょ。何も信用できなくなってしまう」

保護者への文書は「事故」から「事件」へ

事件が起きたのは、7日午前11時ごろ。保護者によると、普段、園児たちは朝の歌やあいさつなどの朝の活動を行い、午前11時半~12時ぐらいから給食が始まるという。

そんな穏やかなお昼前の園内に突然、泣き声が響いた。現場は園の玄関付近。関係者が駆けつけると、この園に通う2歳の男の子が首から血を流していたという。すぐさま119番通報し、関係者が男の子の傷口を抑える圧迫止血を行うと、まもなく救急隊が到着し男の子は病院へ搬送された。首のけがは全治約1カ月の重傷だったが、命に別条はないという。

園から保護者への「お知らせ」文書
園から保護者への「お知らせ」文書

Mr.サンデーが独自に入手したのは、園から保護者への「お知らせ」文書。その中では「事故」という表現が繰り返されていた。

園から保護者への「お知らせ」文書
園から保護者への「お知らせ」文書

「お子様が右首部分をけがする事故が発生し、緊急搬送いたしました」
「事故原因等について調査中で、臨時休園とさせていただきます」

切りつけがあった現場付近には複数の人がいたが、当初は何が起きたのか分からず「事故」と考えられていたのだ。

事件翌日に出された園から保護者への文書
事件翌日に出された園から保護者への文書

しかし、翌日には一転、「警察及び当事者本人からは、未だ事件の詳細を聞かされてはおりませんが、一刻も早く、保護者の皆様方へのご報告が必要との判断により(中略)ご説明させていただきます」と報告された。

園の対応について保護者からは「『事故』って言っていたのにね。めっちゃ不安、不安ですね」「『事件』に変わったよね。発生した事件であるとか。まあ、残念な気持ちはあるよね」といった声が聞かれた。

勤務態度は「真面目」 中学時代を知る人は…

警察が捜査を進めたところ保育士の笹山容疑者が浮上し、殺人未遂容疑での逮捕に至った。2歳の男の子と面識があったという笹山容疑者だが、いったい何があったのか。

2023年9月の日付でSNSにアップされていた笹山容疑者の写真。肩からスマホを提げ、ポーズを決めるその姿は、どこにでもいる今時の若者だ。

2024年5月にも、穏やかにほほえむ写真が投稿されていたが、9日に取材に応えた弁護士によると、笹山容疑者は2024年2月からこの園で働き始め、4月以降、担任を持つようになったという。その勤務態度について、弁護士は「特に不真面目とか、そういった報告はないと」している。

――真面目に勤務していた?
「真面目という評価をしている職員もいた」
――児童に対する指導面は?
「指導面はどちらかといえば優しいという面があったという評価をしている職員もいます」
――今回の事件との因果関係は分かりづらい?
「現段階ではですね」

笹山容疑者の中学時代を知る人は、その人柄について次のように話した。

「性格上は真面目だった。怒ったところっていうのもそんなにないし、部活動でもみんな和気あいあいしていたので……。中学校時代は引っ張るタイプじゃなかったんですけど、自分なりに他の子に声をかけて『頑張ろう、頑張ろう』という感じでやっていました。ニュースを見たらちょっとびっくりしたというか。社会に出てから何かあったのかって」

21歳、保育士として歩み出したばかりの笹山容疑者。一方、保護者は事件との関連は不明としながらも、2024年春に園に起きたという異変について明かした。

2024年春に園では“異変”が起きていたという
2024年春に園では“異変”が起きていたという

「先生足りていないんだなっていうのが印象的だったんですよね。3月末にあったクラス担任発表の時に、今年辞任される先生合計10人ぐらい名前がずらずらってあがっていて。こんなに辞めるんだって思って」
「せっかくいろいろ担当してもらったけどね。さみしいなと」
「(辞めた人の代わりに)新しい先生がいるっていう感じがなかった。メンバー変わらず、抜けたままで」

この保護者らによれば、10人ほどの保育士が一気に園を辞め、人手不足を感じていたという。笹山容疑者は男の子にけがをさせたことは認めているものの、「殺すつもりはありませんでした」と容疑を一部否認している。
(「Mr.サンデー」6月9日放送より)

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