2021年、長野県松本市で起きた犬虐待事件。獣医師の資格を持たないのに麻酔なしで帝王切開したなどとして動物愛護法違反などの罪に問われていた元犬販売業者代表の被告の判決公判が5月10日、長野地方裁判所松本支部で開かれました。被告に懲役1年・罰金10万円、執行猶予3年の判決が言い渡されました。

動物愛護法の殺傷や虐待の罪などに問われていた元犬販売業者の代表・百瀬耕二被告(63)。

起訴状によりますと、百瀬被告は獣医師免許を持っていないのに2021年8月、松本市の当時の自宅でフレンチブルドッグ4匹とパグ1匹を麻酔せずに帝王切開を行い、みだりに傷つけたとされています。

また、松本市内の2つの犬舎で犬452匹に対し劣悪な環境で飼育、虐待し衰弱させたとされるほか、シーズー犬8匹に狂犬病の予防接種を受けさせなかったとされています。

初公判で被告は「虐待の罪」について「間違いありません」と認めたものの、その後、追起訴された「殺傷の罪」については「帝王切開については鎮痛剤を使用し、みだりに傷つけていない」と否認してきました。

また、これまでの公判で被告は「自分の持ち物である犬を帝王切開しても罪にならないと思った」などと語ってきました。

検察は「大規模な動物虐待事案であり、行為の悪質性、常習性から厳正に処罰すべき」と懲役1年・罰金10万円を求刑しました。

一方、弁護側は動物愛護法の「虐待の罪」と狂犬病の予防接種を受けさせなかった罪は認めたものの、「殺傷の罪」については「帝王切開に鎮静・鎮痛効果のあるドミトールを使用していて、みだりに傷つけたことにはならない」と無罪を主張していました。また、「動物を傷つける積極的な意図は持っていなかった」などとして執行猶予つきの判決を求めていました。

5月10日、長野地方裁判所松本支部で開かれた判決公判。

永井健一裁判長は「過去に例を見ない悪質なネグレクトで懲役刑を選択するべきだが、曲がりなりに子犬を助けようとした処置も施していることを考えると猟奇的な殺傷とは違う。前科がないことと、ブリーダーを廃業していることを考慮して執行猶予を付けた」などと述べ、百瀬被告に懲役1年・罰金10万円、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

長野放送
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