青い制服を着た複数の女性が、人々の前で何やら芝居を披露している。
さらに映像には、路面電車の中でピンクの服を着た2人の女性が、乗客に語りかける場面や、市民が真剣なまなざしで話を聞く様子などが収められていた。
映像は、北朝鮮が流している“自首キャンペーン”。
北朝鮮では、韓国のドラマや映画を見た16歳の少年に、公開裁判で12年の強制労働が言い渡されるなど、韓国文化に厳しい対応がとられてきた。
しかし、今回入手した自首キャンペーンの映像の中身は、韓国ドラマを見たり流布したりしても、正直に告白すれば許すというもの。
映像の字幕には、「いつ? どこで? 誰から? 誰と一緒に?」と書かれていた。
自首するときは、韓国ドラマをどういった状況で見たのかなどを、くわしく正直に話さなくてはならないという。
このキャンペーンは、工場や家庭菜園などさまざまな場所で行われていた。
そもそも北朝鮮では、なぜ韓国ドラマなどを見ることが許されないのか。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授「特に若い人は、そういう（韓国の）文化や華やか・自由な生活に憧れを抱く。北朝鮮がそれを提供できない以上は、韓国への憧れが、北朝鮮に対する不満に変わる。そこを警戒していると思われる」
主に、韓国のドラマや音楽を禁止する法律まで作ったうえ、少年を公開裁判にかけるほど、厳しい態度で臨んできた北朝鮮。
今回の“自首キャンペーン”で、これまでの対応を大きく変えた目的は何なのか。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授「厳しい取り締まりだけでは、若い人たちがついてこないので、正直に言えば許してあげますよということによって、むしろ効果的な取り締まりをしようという狙いがあるのではないか」
これまでに自首したとされるのは、100人以上。
自首した市民について、韓国メディアは、当面は処罰を免れるものの、当局の管理下に置かれ、捜査やプロパガンダに利用されると伝えている。
