福岡市の神社で4月1日、さい銭箱から金を盗もうとした53歳の男が窃盗未遂の現行犯で逮捕された。神社の防犯カメラが男の犯行の一部始終を捉えていた。
“さい銭泥棒”被害は10年前から
神社の拝殿に設置された防犯カメラの映像。そこには、暗闇の中をそろりそろりと四つんばいで進む男の姿が……。たどり着いたのは、さい銭箱。
この記事の画像(16枚)男はさい銭箱に手をかけると、手前に傾ける。すると、箱から出てきた小銭を手に取り、自分の財布に入れ、立ち去った。
さい銭泥棒が現れたのは、福岡市早良区にある「十二社宮」。約1200年前の平安時代に建てられたという由緒ある神社だ。神職が常駐していないため無人だが、近隣住民が大切に管理し、あがめてきた。
実は、さい銭泥棒の被害は10年以上も続いているという。
近隣住民:
お金を取るっちゅうこと自体からしてね、いずれバチは当たるんでしょうけどね。
神社を管理する緒方さん:
もう10年以上前からかな。絶対やってはいけない行為だと思っていますよ。
さらに……。
神社を管理する緒方さん:
正月用のお餅とか果物とか野菜とか。そこに飾るようにという目的で買ってきたんだけど、翌日来たら無くなっていた。さい銭泥棒のせいじゃないかなと。
カメラがとらえた犯行の一部始終
業を煮やした住民らは、2023年12月、ついに防犯カメラを設置。すると2024年1月、泥棒の姿が捉えられた。
四つんばいで靴を履いたまま、さい銭箱に近づく中年の男。一度、さい銭箱を手前に倒すと、箱を右に傾け、下からお金を取り出したようだ。床に落ちた小銭も丁寧に拾い上げると、四つんばいのままその場を後にした。
別の日も、また四つんばい。カメラを設置してから3カ月間で、男が映っていた回数は10回にも上る。
神社を管理する緒方さん:
(お金が)入ってるのを確認して…。(さい銭の)出し口があるんですね。(犯人は)知ってるんで、手慣れた感じですね。
確かに手慣れた犯行だが、なぜ毎回、四つんばいだったのか?
同時間帯の神社を訪れてみると、真っ暗で何も見えなくなり、月明かりも入ってこないような状態だということが分かる。
神社を管理する緒方さん:
真っ暗闇で立って移動するということは、いろんな障害物がもしあったら、それで支障になる。
視界がほとんどない中、さい銭箱に確実にたどり着くため、はうようにして進んでいた可能性が高いという。
“さい銭の多い”月初めに張り込み
何とか男を捕まえたいと考えた住民たち。そこで注目したのは、男が現れた日付だ。
さい銭泥棒は、月初めの1日だけ2回入っていたのだ。というのも、慣習として、1日はお参りする人が多く、当然、さい銭も多くなる。男はそれを狙ってくるに違いない。
警察が張り込むことを決めたのは4月1日の夜。午後8時過ぎ、さい銭箱のある拝殿で警察官が待っていると、何かを察知し、身をかがめて隣の部屋へ移動。すると、男がやってきた。
男はさい銭箱に手を掛けると、いつものように手前に倒し、中にお金が入っているかを確認。その時、男が突然逃げ出した。3人の警察官がすぐさまその後を追いかけた。
この後、53歳の男が窃盗未遂の現行犯で逮捕された。男は調べに対し「今までにも盗んだことがある。お金が取れたら好きなタバコを買おうと思った」と供述している。
(「Mr.サンデー」4月7日放送より)