3日に台湾東部で発生したマグニチュード7を超える地震では、これまでに9人が死亡。現在も多くの人が行方不明になったり、建物に閉じ込められているという状況が続いている。現地の最新情報について、震源地に近く最も被害を受けた花蓮市から、木村拓也キャスターが中継でお伝えする。

被害状況が徐々に明らかに…

花蓮県の山間部を走っていた車のドライブレコーダー映像には、上り坂の途中で揺れに襲われ停車する車が捉えられていた。

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やがて前の車がバックし始め…次の瞬間でした。

画面右側の斜面から大きな岩が転がり落ち前の車を直撃した。

都市部に向かう途中の道には2m近くある巨大な岩が…
都市部に向かう途中の道には2m近くある巨大な岩が…

都市部に向かう途中の道には、4日も2m近くあると思われる巨大な落石が残されていた。

さらに、被害は都市部にも及んでいる。

コーヒーショップと思われる建物の1階部分の外壁が、天井から地面まで真っ二つに亀裂が走っている。

地震によって傾いたビルの周りでは、4日、重機を使ったがれきの撤去作業が始まっていた。

その付近にあったのは巨大なレンガに押しつぶされた車。屋根に積み上げられていたレンガが、揺れによって落ちて、車に直撃したのだった。

花蓮県では、日本人が営む飲食店も被災した。
飲食店を経営する溝淵剛さんは、「冷蔵庫なんですけど倒れちゃって、ドアが開かないようになった。ガラスも割れちゃって…。お酒も結構ワインもね割れたんですけど残ったやつだけ…」と話す。

木村キャスターによる報告

最大震度6強を観測した街の被害状況が明らかになってきた。震源地に近く最も被害を受けた花蓮市から木村キャスターが報告する。

ーー一夜明けての状況は?
一夜明けても被害は大きいなと思います。倒壊したビルの目の前にいますが、街の中を取材して、倒壊したこのビルだけではなくて、数軒、全壊してしまったところがあります。ただ、街全体がそうなっているかというと、そういうわけではありません。それ以上に行方不明であったり、閉じ込められた人が多いという点が一番懸念されます。

倒壊したビルの手前では重機が作業しています。これは土砂やがれきを運び入れている作業なんだそうです。建物の下から土砂を入れることによって、倒壊した建物がより倒れないようにしているということです。この作業かなり時間がかかるそうで、当局によると、2週間ほどかかるとのこと。このビル自体は1986年にできたといいます。今から38年前ですから、25年前の地震よりも前に出来ています。

そして、2018年の地震の際には、花蓮市の市役所からも耐震強度の補強するようにと言われたそうで、そこで、耐震強度の補強をしたそうです。そんな中で、今回の地震で倒壊してしまいました。ペットを助けに戻った1人が亡くなっています。そして、251世帯入れるそうなんですが、他にいた人は全員避難して無事だということです。

右側にあるクレーンには専門家が乗っている
右側にあるクレーンには専門家が乗っている

この長引くというような要因としては、右側にあるクレーンの上に専門家が乗っているそうです。この建物の材質が古いので、どういったものなのかを調べ、どのような解体方法なのを決めて、最終的にゴーサインが出るまで、今待っているというような段階だということです。

最新情報で言いますと、この亡くなった方の人数は、9人で変わっていませんが、ここ数時間で閉じ込められている方が500人増えました。いまだ全容が分からないこの数字は、さらに増える可能性があります。

ーー取材をしていて感じることは?
安否の心配ももちろんですけれども、取材をしていると至る所に「日本」を感じます。左側建物の看板には「浅草堂」と書かれています。台東区浅草にあってもおかしくないような作りになっていますが、日本をモチーフにしているといいます。健康食品店だそうです。

それから反対側の倒壊したビルの隣は、台湾料理の店だということですが、「黑金通」とその下り「全ての始まり」という文字が書かれています。日本を感じられるようになっています。

それから、世界の注目度もあります。取材している付近は、台湾、中国だけではなく、韓国であったり、イギリスBBC、ロイターなど各メディアが集まっています。

このテント内で花蓮県の地元職員の方たちが夜通しで飲食を提供している
このテント内で花蓮県の地元職員の方たちが夜通しで飲食を提供している

それから、地元当局も急きょ拠点を作りました。花蓮県の地元職員の方たちが夜通しで飲食を提供しているんです。それから、奥には花蓮県警察局のテントがあります。そこには「前進指揮所」と書かれています。警察、自治体職員も含めて、夜通しでの作業が続いています。ただ、見通しは立っていません。
(「イット!」 4月4日放送より)