ネット通販や電子書籍の普及で、いま全国的に問題となっているのが、街の書店の減少です。
国が対策に乗り出す中、富山県内の自治体では本屋さんを誘致する取り組みも進められています。

県内に6店舗を展開する明文堂書店。
CDやDVDのレンタルのほか、雑誌やコミックを含む15万冊の書籍を販売しています。

*利用者
「欲しい本を探したり、雑誌を見たりする目的で来ている」
「ネットの方が頼んだら次の日に届くし、その方が便利かもしれないが、見てから買いたいものとかは本屋に来たりする」

一方、書店は電子書籍の普及やネット通販の拡大などの影響もあり閉店が相次いでいます。

*リポート
「富山市の掛尾町です。こちらでは以前、大型の書店が営業していたんですが、今年1月に営業を終了し、現在は改装工事が行われています」

明文堂書店は、今年に入り、富山掛尾店、富山新庄経堂店、富山有沢橋店の3店舗を閉店し富山市から撤退しました。
こうした経営判断の背景には、物価高騰によるコスト高や、長年の業界の慣習による収益の悪化があると言います。

*明文堂プランナー 清水大志郎社長
「電気代等コストがアップしたことで、他の業態だと価格に転嫁し値段を上げることでコントロールすると思うが、出版業界の商慣習で価格のコントロールが書店ではできない。近年特に1,2年で、私どもだけではなくて日本全国でそういった状況の書店が増えている」

明文堂では売り上げ拡大を図るため、カフェを設置したり文房具も販売するなど「商品の複合化」を進めてきました。

さらに、地元の農業法人と連携したイベントの開催など地域に根ざした取り組みを強化し、単なる情報の集積地から、地域コミュニティの拠点へと移行することで、店舗を存続させたい考えです。

*明文堂プランナー 清水大志郎社長
「行った先に本があると思い出すというか、最近本を読んでいないというお客様に購入してもらえる。本が売れないのではなくて、客と本が出会う、接する機会が減ってしまっているのが反省としてあるので。コミュニティというか、本屋に来店する動機づくりをちゃんとして、本との接点を増やせばちゃんと売れるという所は実感として持っているので出版不況と言われているが、まだまだやれることはあるのではないか」

減少の一途をたどる街の書店。
富山県内ではこの10年で41店舗減りました。

全国では4分の1の自治体が、書店ゼロの状態となっています。
こうした事態に危機感を抱いた国は、今月5日書店を支援するプロジェクトチームを発足させました。
今後、全国の書店の「課題」と「成功事例」のヒアリングを進め、ノウハウを共有していくこととしています。

こうした中、立山町では…。

*立山町企画政策課 中川大輔係長
「ここはいわゆる『LAWSONマチの本屋さん』の施設。普通の広さの約1.5倍というかなり大きいコンビニエンスストア」

2015年に町の中心部にあった書店が閉店して以降、書店がない状態が続いていた立山町。
4月、待望の書店が役場の敷地内に誕生します。

書店誘致のきっかけは、町長に宛てに届いた児童からの1通の手紙でした。

*立山町企画政策課 中川大輔係長
「町に本屋さんが欲しいという切実な内容だった。町に本屋がなくなっていくというのは時代の流れとしてもしょうがないのかなと思っていたが、一方で子どもたちは本に触れる機会を求めていることがわかった」

町は、開業資金の補助や家賃の減免などの支援策を打ち出し誘致活動を展開。
2年に及ぶ取り組みの末、役場の敷地を一部提供することや、施設を町が建設するという条件で折り合いがつき、コンビニ大手が手がける書店併設型の新業態店舗の出店にこぎつけました。

*立山町企画政策課 中川大輔係長
「本を買うにしてもネットで簡単に買える時代にはなっているが、それだと目的の本にしか出会えない。本屋に行っていろんな本に触れて出会うというきっかけは、特に子どもたちには必要なのではないか。町としては子どもたちのためにそういった機会を設定したいという思いがある」

この新業態店舗、全国11店目で4月26日にオープンします。

民間、行政、地域が連携し、書店ゼロの解消へ。
時代にあった書店のあり方の模索が続いています。

富山テレビ
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