多くの客が日々利用するエスカレーターで3月26日、72歳の男性が手すりに衣服を巻き込まれ、死亡する事故が起きた。水戸駅の利用客からは「ありえない」「そんなことが起こるとは思えない」など困惑の声が聞かれた。

事故はどのようにして起き、被害者を救う手だては、なかったのか。専門家に現在分かっている情報をもとに分析をしてもらった。

出血しながらも駅員の呼びかけに応じる

事故は、茨城・JR水戸駅の常磐線ホームから改札階へと向かう上りエスカレーターで起きた。3月26日、午後9時ごろ「人が倒れている」との連絡を受けた駅員がエスカレーターに駆けつけると茨城・日立市在住の鈴木守さん(72)が倒れていて、病院搬送後に死亡が確認された。

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発見された際、鈴木さんはエスカレーターの降り口付近に背中を丸めた状態で倒れていて、ジャケットの背中側のすそが手すりに巻き込まれていた。鈴木さんは出血していたが、当初は駅員の呼びかけに応じていたという。

72歳の男性は、ジャケットの背中側のすそが手すりに巻き込まれていた
72歳の男性は、ジャケットの背中側のすそが手すりに巻き込まれていた

発見時もエスカレーターは動いていたというが、なぜ手すりに服が巻き込まれ、どのような状況で転倒したのか分かっていない。

事故はなぜ起きた?救う手だてはなかったのか

専門家に現在分かっている情報をもとに分析をしてもらった。

江戸川大学 斗鬼正一名誉教授
江戸川大学 斗鬼正一名誉教授

江戸川大学 斗鬼正一名誉教授:
今回はベルトが吸い込まれる所に(服が)吸い込まれたんじゃないかと思うんですね。その場合も(通常は)安全装置がついていて、止まるようになっているはずなんです。

なぜ今回、安全装置が作動しなかったのか、詳しい検証が必要だという。

もし服が巻き込まれたまま停止しなかったら?

乗り口や降り口の付近には非常停止ボタンがあるが、事故に巻き込まれた当人はパニックに陥りやすく、対処は困難だと話す。

乗り口や降り口の付近には非常停止ボタンがある
乗り口や降り口の付近には非常停止ボタンがある

江戸川大学 斗鬼正一名誉教授:
自分で非常停止ボタンを押すことは、普通できないですよね。助け呼んで誰かに停止ボタンを押してもらう。(自分)1人ではどうしようもないと思います。

その上でエスカレーター内では歩かず、ベルトにつかまるなどの安全な乗り方を心がけることが、何よりも重要だという。
(「イット!」 3月27日放送より)