すでにこの春休みに行っていたり、1カ月後のゴールデンウィークを利用して海外へ旅行する人も多いかもしれない。

旅は楽しいが、帰国したときに困るのが使い切れなかった外貨の整理だ。財布の中に入れっぱなしになっているかもしれないが、そんな悩みを解消できる機械が空港などに設置されていることを知っているだろうか。

それが“余った外貨や紙幣”をその場で簡単に電子マネーやギフトコードに交換できるサービス「Pocket Change」だ。

提供:株式会社ポケットチェンジ
提供:株式会社ポケットチェンジ
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「Pocket Change」の特徴は、外国の通貨(硬貨/紙幣)を交換でき、無人の端末で気軽に利用できること。現在、北は北海道から南は長崎まで、全国の主要駅、商業施設などに79台設置している(3月27日時点)。

対応通貨は硬貨/紙幣ともに対応するのが米ドル、ユーロ、中国元、韓国ウォンの4通貨で、紙幣のみ対応が日本円、台湾ドル、シンガポールドル、香港ドル、タイバーツ、ベトナムドンの6通貨。

外貨を電子マネーに交換(提供:株式会社ポケットチェンジ)
外貨を電子マネーに交換(提供:株式会社ポケットチェンジ)

外貨を手軽に交換できる画期的なサービスだが、どのようなきっかけで開発したのだろうか?また、なぜ電子マネーに交換なのだろうか?「Pocket Change」を開発した株式会社ポケットチェンジの担当者に話を聞いた。

こだわりは「邪魔な小銭をなくす」

ーーどうして開発したの?

海外旅行から戻るといつも外貨の小銭が余ってしまい、「こんなサービスあったら便利だな」という構想は2010年ごろからありました。

2015年に会社を設立し、2017年2月羽田空港が初設置です。外貨硬貨は現在日本では気軽に両替ができない、というところに目をつけました。

東京モノレール 羽田空港第3ターミナル駅 2階改札外(提供:株式会社ポケットチェンジ)
東京モノレール 羽田空港第3ターミナル駅 2階改札外(提供:株式会社ポケットチェンジ)

ーーなぜ現金ではなく「電子マネー」?

“外貨硬貨を扱えるのはPocket Changeだけ!”。「邪魔な小銭をなくす」という構想からはじめたプロダクトなので、現金への両替ではなく、「電子マネーやギフトコードに交換」という点にはこだわっています。


ーー使い方を教えて

「Pocket Change」の操作はとてもシンプルです。事前会員登録や個人情報の登録も必要ありません。たったの3ステップで電子マネーへの交換が完了します。また、音声案内・表示言語も日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語の5言語に対しており、外国籍の方にも安心してご利用いただけます。

交換できる電子マネーは、Suicaなどの交通系ICカードや楽天Edy、WAON、nanaco、Amazonギフト券、Google Play ギフトコード といった便利な電子マネーから自分でほしい電子マネーを選択し、外貨を投入するだけです。

選べるいろんな交換先(提供:株式会社ポケットチェンジ)
選べるいろんな交換先(提供:株式会社ポケットチェンジ)

【使い方】
1:住んでいる国や地域に応じた交換先サービスを選択する。(Suica、nanaco、WAONなど)
2:外国の硬貨、紙幣を機械へ投入。硬貨はまとめて投入が可能。
3:その場ですぐに電子マネーなどに交換。
・タッチ型の電子マネー→カードまたはスマートフォンをかざしてチャージ。
・ギフトコード→ギフトコードが記載されたレシートを出力。

硬貨投入イメージ(提供:株式会社ポケットチェンジ)
硬貨投入イメージ(提供:株式会社ポケットチェンジ)

ーーレートはどうやって決めている?

定期的にサーバーからレートを自動取得し、それに基づいて計算しています。レートは、他の外貨両替と同じく買値・売値の差(スプレッド)によって決めています。

日本円を外国電子マネーに交換も可能

ーー交換した外貨はどうしているの?

金庫の利用状況をリモートで確認し、定期的に交換しています。外貨のその後については、さまざまな努力をしており、企業秘密です。


ーー日本円からも交換できる?

日本の紙幣を外国の電子マネーやギフトコードに交換することも可能です。「成田空港 第2ターミナル 3階 出国フロア 61番ゲート手前」と「関西国際空港 国際線出発ゲートエリア 北ウィング」では日本円硬貨も受付けているので、日本旅行を終え、帰国する外国人観光客の皆さんにもご利用いただいています。

交換対応外貨(提供:株式会社ポケットチェンジ)
交換対応外貨(提供:株式会社ポケットチェンジ)

ーー外貨の偽造チェックは行っているの?

一般的な自販機などと同じく、機器投入段階から全て真贋(本物と偽物)の判定しています。

家で外貨を眠らせている人もターゲット

ーーどのくらい利用者がいるの?

旅行帰りの人はもちろん、家に外貨を余らせてしまっている人にも使ってもらっています。

サービスをシンプルに終わらせることを目指しており、正確なユーザー属性などを取っていないので試算の数値にはなりますが、海外旅行時に余らせた外貨をお家に眠らせていた方や、海外旅行から帰ってきた直後に外貨をお持ちという日本人の方が8割程度、海外旅行中にSuicaなどの電子マネーにチャージされているインバウンドのお客様が2割程度と捉えています。

提供:株式会社ポケットチェンジ
提供:株式会社ポケットチェンジ

ーー設置場所の決め手は何?

ターゲットは、「外貨をお持ちのお客さま」です。ですから、主軸のターゲットについては必然的に海外旅行から帰ってきたお客様=空港です。ただし、空港については国際線がある空港となると、そう多くはありません。

そこで次のターゲットとなるのが、家に外貨を眠らせている人たちです。このターゲットについては、基本的には商圏が広い商業施設などを意識しつつ、弊社の基準で設置先を選定しお声掛けさせていただいております。

設置場所の例(提供:株式会社ポケットチェンジ)
設置場所の例(提供:株式会社ポケットチェンジ)

ーー反響はある?

時間をかけてじわじわと認知が広がってきたようでおかげ様で端末の利用も増えております。
また、2月上旬に秋葉原でポケットチェンジ初となる利用体験イベントを開催した際にも、多くの良い口コミ投稿をいただき、うれしく思っております。


ーー今後の目標を教えて

コロナ禍で端末の設置などを控えておりましたが、ようやくインバウンド・アウトバウンドの需要も戻ってきました。現在、端末設置100台を目指して進めております。



画期的なサービスは、「こんなサービスあったら便利だな」という思いから始まっていた。余った外貨を交換することで、次回の旅行や日常生活で便利に使える資金として活用できそうだ。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。