自民党の派閥の政治資金事件をめぐる衆院政治倫理審査会の開催に関して、岸田首相は、自身が審査会に出席し、マスコミオープンの形式で説明を行う意向を表明した。
岸田首相は28日午前、記者団に対し政倫審について「与野党の駆け引きの中で開催の見通しが立たないことは極めて残念だ。私自身、政倫審というのは出席についても公開非公開の形式についても議員の意思が尊重されるものであり、こうしたルールの下で開催されると申し上げてきた。しかし今の状況のままではますます国民の政治に対する信頼を損ねる、不信がますます深刻になる危機感を感じていた」と述べた。
その上で「以上の点を踏まえて、私自身、自民党総裁として政倫審に出席し、マスコミオープンの場で説明責任を果たしたい」と表明し、党の国会対策委員会に手続きを指示したことを明らかにした。
また、他の議員に関しても「政治の信頼回復に向けて、志ある議員に政倫審はじめあらゆる場において説明責任果たしてもらうことを期待したい」と述べた。
これを受けて立憲民主党の安住国対委員長は、自民党から岸田首相の政倫審出席意向が伝えられたことを明らかにし、「拒むものではない」として申立書を見た上で対応を決める考えを示した。さらに、岸田首相が出席するのなら二階元幹事長や、安倍派で政倫審での説明に前向きな議員の出席も実現するべきだとの認識を示した。
政倫審をめぐっては、安倍派と二階派の幹部5人が出席して説明する方向だが、カメラ取材も含めた全面公開を求める野党側と、出席者の意思を尊重して全面公開に反対する自民党の間で調整が難航し、当初予定されていた28日の開催が見送りになっていた。
来年度予算案の審議への影響が懸念される中、岸田首相としては自身が出席することにより与野党の膠着状況を打開し、公開の形での開催に道筋をつける狙いがあると見られる。