30日、国会で外交演説を行った上川陽子外務大臣。 上川大臣について、自民党の麻生副総裁が地元の講演会で言及したのですが、その内容が今、物議を醸している。

https://youtu.be/vMK5Ea8F8MY

■「おばさんやるね」などの発言が物議

麻生太郎副総裁:
今の外務大臣は“カミムラ”陽子、女性ですよ?“カミムラ”陽子は大したもんだぜ、これは

 “カミカワ”(上川)大臣の苗字を悪びれもなく、2回にわたり呼び間違えた後…。

麻生太郎副総裁:
俺たちから見てても、『ほ~このおばさんやるね』と思いながら、この間ニューヨークで会ったけど、少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども、外交官の手を借りなくて、『私がやるからいい』って、どんどん会うべき人たちには自分で予約を取っちゃう。あんなことできた外務大臣は今までいません。新しいスター、新しい人がそこそこ育ちつつあるんだと思いますね

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 “麻生節”で、上川大臣を「おばさん」、「美しいとは言わない」と表現した上で、「新しいスター」と持ち上げた。30日、麻生副総裁の発言をどう受け止めるか記者から問われると…。

上川陽子外務大臣:
今回、約20年ぶりに女性の外務大臣に任命されまして。さまざまなご意見やお声があることは承知をしておりますが、どのような声もありがたく受け止めております

上川外務大臣も首をかしげた今回の麻生副総裁の発言。その真意をジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。

■「ポスト岸田をコントロールする」との考えがあるのでは

麻生氏の問題発言について「受け止める」と答えた上川外務大臣。

「上川外務大臣本人が『その発言は失礼だ』と、女性のトップとして示してほしかった。本人が受け止めると言ったことで、周りがどう受け止めて良いか分からなくなる」との声もあった。 麻生氏の問題発言の真意を、鈴木哲夫氏に伺った。 容姿についての失言がありつつ、「新しいスターが育ちつつある」とし、上川外務大臣のことを褒めていた麻生氏。この真意について鈴木さんは「ポスト岸田は俺がコントロールする」という思いがあるのではとみている。

ジャーナリスト・鈴木哲夫氏:
確かにトップになるならここはビシッと言わなきゃだめ。そこで『上川さんって大丈夫なの』と思われた部分もある。(麻生氏が上川大臣について)なぜ名前を挙げたかというと結局いま、“政治とカネ”でもめていますけど、水面下ではやっぱり岸田降ろしですよ。“ポスト岸田”というのが続いているんです。去年から支持率が低くて、『岸田さんじゃ選挙もやれない』という流れがずっとありました。だから今そんな騒ぎを起こすと、自民党は何やってるんだって言われる。岸田おろしの話というのは今みんな黙っているけどあるんですね。いずれ9月に総裁選があって、じゃあポスト岸田の話になった時に、麻生さんとしては『俺がキングメーカーだ、後の流れを俺も作るんだぞ』ということで色んな人の名前出したりして発言を始めたのかなと

■上川外相に国民からも期待の声

上川外務大臣、国民からも期待の声が上がっているようだ。1月に行われたFNNの世論調査で「次の首相にふさわしいのは?」という質問に、次のような回答となった。 1位は石破元防衛大臣、2位に小泉元環境大臣。そして5位に上川外務大臣。 国民からの評価もある中、なぜ麻生氏が今、上川大臣推しになっているのか。鈴木さんの見解では、菅氏、石破氏、河野氏、小泉氏、高市氏らがポスト岸田の座に収まってほしくないのではということだ。

ジャーナリスト・鈴木哲夫氏:
ポスト岸田にいろんな名前が上がってくる時に、 石破さんとか小泉さんとか"小石川連合"なんて言われましたけど、この後ろには菅さんがいる。麻生さんはそれが嫌なんです。この人たちが総裁に出てきたら嫌だから、じゃあ対抗馬でということで上川さんを推していると見た方がいい。上川さんをかっているというより、他の嫌なやつが出てくるよりは上川さんだ…ということ。そういう裏があると見ていいと思います

 Q.岸田首相も元岸田派の上川外務大臣を推している?
ジャーナリスト・鈴木哲夫氏:
そうです。どっちかというと岸田さんは、本当は林芳正さんと優秀な人がいるけど、そういう人たちに渡すよりは上川さんに…ということで流れを作ろうと。外務大臣に据えたくらいですから。そういう意味で岸田さんも上川さんならいいとか、多数派を構成できるだろうと。これは麻生さんが言ったわけじゃありません。『俺が嫌なこいつらにはやらせない』という、そういう駆け引きがあるんだろうと、僕の取材ではそう思います

 鈴木さんご自身は、上川大臣の働きぶりをどのように見ているのか。
ジャーナリスト・鈴木哲夫氏:
直接取材したことはありませんが、上川さん総理大臣になるんであれば、法務大臣の時に何か重大な決断をした、それだけじゃだめです。国家観とかこの国をどうするか…とか。それは安全保障もあれば、でも、外交だけじゃありません。社会保障、国民の生活、いろんなものをどういう国を作るかというのも、実は上川さんからまだ聞いていません。それを語って初めて、この人がポスト岸田かどうかという判断を僕らはしなきゃいけないと思います

■今年は岸田首相『任期満了』 今後に注目

今年の政界の焦点の一つは自民党総裁選。岸田首相は任期満了の年ということで、次期総裁は誰になるのか。 また一方で、世間を騒がせている裏金問題も消えてなくなったわけではない。

ジャーナリスト・鈴木哲夫氏:
これはもう徹底的にやらなきゃ。もう何度も言っていますけど、まず事実関係を全部明らかにしてね。派閥解散じゃなくて。だって、犯罪の事実を明らかにしないで対策なんか取れますか。岸田さんはまずそれをやらなきゃいけない。それから、岸田さんは最近ちょっと元気になっている。それは『政治とカネをやっているぞ』感みたいな、その延長で解散するんじゃないかなんて話も出てきていて。まあ、政局ですよ。だけど、解散していいんじゃないですか。僕らが1票を投じるチャンスが出てきていると、そういう考え方もある。でも政局は注目だと思います

 今後の動きに引き続き注視していきましょう。

(関西テレビ「newsランナー」1月31日放送)

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