岸田首相は、27日に首相官邸で「新しい資本主義実現会議」を開催し、「持続的賃上げ」と「国内投資促進」の2つを中心に据えて、3年間の変革期間で「計画を早期に実行する」と述べた。
25日に発表し、10月中を目途にとりまとめる経済対策で、この2つのテーマでそれぞれ具体的方針を示した。
【持続的賃上げ】
(1)賃上げ税制の減税措置の強化。
(2)中小規模企業の賃金引き上げのために省人化・省力化投資への支援を実施。地方での賃上げ拡大のために工場等の新設支援、経営者保証を不要にする信用保証制度を年内に創設。
(3)最低賃金の上昇率や春闘の妥結額を基礎にして、物の販売価格を決める交渉を行うなど、労務費(人件費など)の価格転嫁のわかりやすい指針を年内に公表。
(4)非正規労働者と正規労働者の「同一労働同一賃金」への対応が不十分な企業を指導。在職中の非正規労働者に対するリスキリング支援の開始。
(5)資産運用立国にむけ、年内に政策プランを策定。
【国内投資促進】
(1)半導体、電気自動車、蓄電池など戦略分野の国内投資についての新たな減税制度の創設。
(2)特許権などの知的財産から生じる所得に関する減税を実施(イノベーションボックス税制の創設)。
(3)ストックオプション(自社株を購入する権利)を使い勝手のよい物にするための法制整備、減税措置の充実を検討しイノベーションを牽引するスタートアップ企業などへの支援強化。
岸田首相は、新しい資本主義の推進実現会議でとりまとめた内容について、新藤経済再生担当相を中心に関係閣僚のもと政策の具体化を進めるよう指示した。