社長から現役社員へ連日メールが送られているビッグモーター。暴行で社員が逮捕された際、社長が送ったメールを入手した。
メールでは、「社会の一員としての自覚」を促したが、社内では、新たなノルマが設定され、パワハラ的な空気も残っているという。

そして、新たな疑惑も浮上している。

社員が同業他社の男性を突き飛ばす

9月1日朝、メールには、「コンプライアンス最優先。営業社員が他社の社員とトラブルがあり暴行の現行犯で逮捕される事件が起きました。」とあった。

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和泉社長が言及したのは、8月31日発生した暴行事件。
大阪・大東市に住むビッグモーター社員の男(29)が逮捕されたのだ。

京都市内の店舗に勤務する男は、車の見積もりで客の自宅を訪れた際、同業他社の男性と鉢合わせし、先に客を訪問していた同業他社の男性から、すでに契約した旨を告げられると、口論に発展。

怖くなった同業他社の男性が、スマートフォンで撮影を始めたところ、ビッグモーター社員の男が突き飛ばしたということだ。

男は、警察の調べに対し、「相手のスマホをつかんだだけで暴力は振るっていません」と供述しているという。

8月31日は、「存続をかけた本気の戦いがはじまる」と危機感を示した和泉社長。
事件を受け、9月1日は「社会の一員としての自覚」を促した。

和泉社長9月1日朝のメール:
時には感情的になることがあるのも分かります。
しかしそういう時こそ社会の一員としての自覚を思い返してください。

メールの中で「コンプライアンス」という言葉を3回も使った和泉社長。
一方、メールを見た現役社員のAさんは、こう話していた。

現役社員・Aさん:
コンプライアンスって言葉自体が、この会社に一切なかった言葉であるので、本当に実施されるべきだと。

社員から前副社長の会見を求める声

問題発覚後の社内の様子はどうなっているのだろうか。

Aさんによると、客は10分の1以下に激減。新たなノルマが設定され、パワハラ的な空気も残っているという。

そして周りからは、このように言われていると話す。

現役社員・Aさん:
一番多いのは、“詐欺集団”って言われることが多いので。


社員の間で今、多く上がっている声が、兼重宏一前副社長に関するもの。

現役社員・Aさん:
社員からの声をまとめたリストみたいなものを作ったんですけど、一番多かった声は、(宏一前)副社長の会見謝罪が見たいという声がダントツ。(宏一前副社長は)本当に独裁者みたいな。


旧体制から脱却し、生まれ変わることが求められているビッグモーター。
しかし、客とのトラブルは今なお続いているようだ。

新疑惑「撥水加工」も水がはねない不備

西日本にあるビッグモーターの店舗で、2023年に車を購入したBさん。
その車には、ある不備があったと指摘する。

ビッグモーターで車を購入したBさん:
ここ見ればわかります。こっち(左)がコーティング全くされていないところ、水残ってる。こっち(別)の部分だけ何か知らないけど、コーティングされています。


Bさんは、車の購入時に“ダイヤモンドコーティング”と呼ばれる撥水(はっすい)加工をビッグモーター側から受けたものの、ずさんな処理をされたため、効果がなかったと訴える。

試しに水をかけてみると、ボンネットの大部分に水が残っている様子がわかる。
納車日に愛車の異変に気づいたBさんは、こう話す。

ビッグモーターで車を購入したBさん:
ちょうど雨の日だったんですよ。それで“水あか”が、ちゃんとくっついてて。


1年以上は効果があるとされるはずのコーティングが、納車初日にほころび。
後日、立ち寄ったガソリンスタンドで車を見てもらうと、こう告げられたという。

ビッグモーターで車を購入したBさん:
いろいろ見てもらって、コーティングされていないですよって。撥水効果も全く出ていないですよって。

販売時にローン金利13%を提示

さらにBさんは、最初はコーティングなしでの購入をビッグモーター側に申し出ていたという。

ビッグモーターで車を購入したBさん:
「ちょっと車販売は難しい」って言われたんですよ。

ーーコーティングをつけないと買えない?

ビッグモーターで車を購入したBさん:
そうです、そうです。

ーーいくらぐらいしたんですか?

ビッグモーターで車を購入したBさん:

一応金額はね…、7万4800円でした。


Bさんは、外国出身のため、日本で車を買うことに慣れておらず、ローンの金利についても、購入の駆け引きに使われたと話す。

ビッグモーターで車を購入したBさん:
車のローンを組む時の金利、その金利も少し安くしてあげますの感じで言われている。はじめはなんか…13%。
それが9.9%くらいかな、下げてもらったんですよね。


結局、社員の説明に押され、「撥水加工代」が上乗せされた車を購入したものの、肝心のコーティングには不備。

この件について、ビッグモーター側は、FNNの取材に対しこう回答した。

ビッグモーター側(FNNの取材に対し):
申し訳ございませんが、ご指摘の事案については、当社として把握しておらず、今後確認をし適切に対応を進めてまいります。
また、本社としましては、オプションとしてコーティングを付帯することを推奨しておりましたが、お客さまにコーティングの利用を強制させるといった指導はしておりません。
(「イット!」9月1日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。