学校の「校則」の見直しが広がっているが、岐阜の県立高校では、髪形など一部の校則を期間限定で廃止し、生徒自身が必要性を考える取り組みが行われた。生徒たちは多くのことに気付いたようだ。

「意にそぐわなくても、ルールに従うのが社会だから」肯定的意見も多く

「髪は着色・脱色をしない」「化粧はしない」「高校生らしく、清楚に」。岐阜市の県立岐山高校で定められている校則だ。

しかし6月21日、学校に通う生徒たちの姿は、髪の毛の一部をピンクにしたり、アイシャドーやピンクのリップで化粧をしている女子生徒の姿があった。

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指定のカッターシャツではなく、Tシャツなど私服姿の生徒もいた。

校則の見直しが全国的に進んでいて、岐山高校では6月30日までの3週間、髪形や化粧に関する校則を試験的に廃止し、ルールの必要性や自由とは何かを生徒たち自身が考える期間とした。

廃止期間を終えた7月3日、生徒たちは校則通りの身なりに戻した。放課後、生徒の有志22人が集まり、校則のない生活の経験をふまえて、髪形や化粧の校則を今後どうするのかについて、教師も交えて議論した。

男子生徒A:
髪を染めたりとかパーマとかになったけど、自由になったからといって別に僕的には何とも思わなかったし、弊害もなかったかな

男子生徒B:
特に髪の色とか変えている人も、授業中とかそれが妨げになったりもしてないし

金髪を試した女子生徒は…。

女子生徒A:
私は髪の色を変えたんですけど、「変えたから(成績が)下がった」と言われたくないから逆に頑張ってて、モチベーションとか自信がつくから自分的には良かったと思っています

男子生徒C:
僕はどちらかというと賛成派なんですけど、化粧というのは今、男性・女性に関わらずする時代だと思う

髪形やメイクを自由とすることには、肯定的な意見が多く上がったが、反対の意見もあった。

女子生徒B:
学校は3年間しかない、みんな黒髪で揃った格好の生活を楽しみたいなと思っている自分もいる

男子生徒D:
校則を自由にするという考えは僕はあまり好きじゃなくて、社会にいけば理不尽なことっていっぱいあるわけですし、それに慣れておく環境が必要なのかなと僕は考えまして

「意にそぐわなくても、ルールに従うのが社会だから」という意見。

女子生徒C:
お手洗いで化粧直ししてる女の子たちに遭遇した時、ちょっと怖いなって思っちゃって。あと、めちゃ混んでて、そこがちょっとなって

男子生徒E:
例えば(化粧の)匂いが嫌いな人とか、匂いによって体調を悪くされる人もいると思うんですけど、無香料とかであれば周りに迷惑はかからないと思うし

解禁された化粧が周りの迷惑になっていたという声もあがり、気付いたことは多くあったようだ。

石神政幸校長:
自由というは責任を伴うんだっていうことだよね。自律、自分で律する方、を伴っている。岐山高校生は頭髪OKだよとした時点で、勉強は疎かになるのか?

男子生徒F:
皆が勉強を疎かにして結果が下がるのか、それとも下がらないのか。(模試の結果など)指標となるものを使ってもいいのかなと僕は考えました

3週間の期間では、学生の本分である勉強に影響するのかがはっきりしていないため、もう1〜2カ月様子を見たいという意見もあった。

石神政幸校長:
大切なのは校則を直すことではなくて、そこを通じて君たちがいろんなことを考えてくれること。君たちがこれから10年後・20年後・30年後に生きる社会は、僕が生きてきた社会よりももっと早いです。君たちは今、絶対力をつけなければいけないことは間違いない

校則の見直しは、社会の中で自分で考える力を養うため。1時間ほどで終わった議論の後も、生徒たちは活発に話し合っていた。

岐山高校では今後も議論を重ね、全校生徒へのアンケートや校則廃止期間を延長するかなど、校則見直しを検討することにしている。

(東海テレビ)

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