地球温暖化の影響などで深刻化している熱中症の被害を抑えるため、改正気候変動適応法の「熱中症対策実行計画」が、5月30日閣議決定された。

環境省によると、国内での熱中症の死者は近年1000人を超えていて、2022年までの5年間の熱中症死亡者の平均は、1295人に上る。被害は深刻だ。政府は今回の実行計画の目標について、熱中症による死亡者を2030年までに「半減」させることを掲げた。これまでの熱中症対策行動計画では「熱中症による死亡者数を1000人以下にする」という目標だったが、目標をより高く設定し直した形だ。

具体的な対策も盛り込まれた。

毎年4月から9月まで、熱中症予防強化キャンペーンを実施し、熱中症予防行動の周知や電力需給がひっ迫している中でも節電に配慮した上でエアコンを適切に使用することが呼びかけられる。また体温調節が難しい熱中症弱者である子どもや高齢者への対策を強化し、福祉関係団体を通じた見守り・声掛けの強化も行われる。

呼びかけだけではなく、学校の教室や体育館、スポーツ施設へのエアコン設置を支援するなど、ハード面での対策も進める。

さらに、地方公共団体においては暑さを避けるクーリングシェルターの指定や、エアコンのある施設の確保などが求められている。

気候変動の状況や熱中症の今後の推移を見極めながら、対策の追加や強化も引き続き検討していくという。

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