大雨シーズンを前に

毎年のように豪雨災害が起きる時代、2020年も本格的な大雨シーズンを迎えようとしている。また地震はいつでもどこでも起きるものだとわかってはいても、4月以降日本列島のあちこちで地震が多く発生していて不安を感じている方も少なくないだろう。

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新型コロナウイルス感染症は収束しないまま第二波襲来の不安を抱える状況で、今もし大きな災害が起きたら、私たちはどのような行動を取ればよいのか。

家から出るのが怖い…。逃げない方が安全なのではないか。多くの人が集まる避難所で感染してしまうのではないか。自分が無症状感染者だったら他人にうつしてしまうかもしれない。避難するとき何を持って行けばいいのか。

災害避難に関する多くの疑問の答えを、政府が住民や自治体などに向けて発信した最新情報を元にまとめた。

ウィルスの不安があっても、ためらわずに避難を

政府は、災害で命を落とさないために、たとえ新型コロナウイルスに対する不安があっても、「自分が危険な場所にいる場合は、ためらわずに避難することが原則」としている。

そのうえで「避難」とは文字通り「難」を「避」けることであり、自宅が安全な場所にあれば、どこかへ逃げる必要はなく「自宅内に留まること」も「避難」の選択肢だとし、自宅が危険な場合の避難先として、安全な場所にある親戚や知人の家への避難も考えるなど「避難先の分散」を呼びかけている。

今しておくべきこと

「自らの命は自らが守る」ことが防災の基本であることから、まず自宅が安全かどうか今のうちに確認しておくことが重要となる。

地域ごとに災害の危険度を色分けしたハザードマップなどで、自宅が災害に対してどれくらいの強さを持っているのか、耐震対策は万全か、土砂災害には強いのか、津波や洪水の時に浸水しない高さはあるのか、などを調べておくことが避難を考える第一歩だ。

またコロナ禍では、現時点で家族が新型コロナウイルス感染症で入院している場合には、念のため入院先の病院に立地の安全性や避難計画などを確認したり、事情があって自宅療養している方はいきなり避難所へは行かず、事前にどうすれば良いか保健所などに相談しておけば、いざという時に焦らずに済むだろう。

避難所でどう過ごすのが安全か

自宅に災害の危険が迫り、「立ち退き避難」をする判断をした場合、災害の危険性がなくなるまで一定期間滞在する「避難所」内で感染しない、させないためにはどうすれば良いのか。新型コロナウイルスの全てがわかっていない以上、これまでやってきた対策をできるだけ実践するしか方法はない。

これまで避難するときに用意していた避難グッズに加えて、できるだけマスクと消毒液や体温計を持って行くよう政府は呼びかけている。

マスクの代わりに鼻と口を覆える大きめのタオル消毒液が手元になければウェットティッシュでも構わない。

他人と共用で使わないように室内履きや石けんを持って行くことも感染リスクを減らすと考えられている。

避難所では入所の際に検温などの体調確認によって、健康な人と症状のある人などがそれぞれ別々の場所で過ごすことが基本となっている。

施設内では「密閉・密集・密接」の3つの密にならないよう換気を心がけ、他人との距離の目安である2メートルを意識して密集した状態での会話を避け、咳エチケットに努める

食事の前、トイレの後、またドアや手すりなどに触れた後の手洗いや消毒を徹底し、発熱など体調に変化があった場合は、無理をせず避難所を運営する職員に知らせる事が大切だ。

また、感染の不安から自家用車などで車中泊する場合は、エコノミークラス症候群に注意して、長時間の座った姿勢を避け、こまめに水分補給を行うよう呼びかけている。

内閣府のチラシ

自治体は避難所の感染防止対策徹底を

東日本大震災時の避難所の様子

一方、避難所の運営をする市町村に対して政府は、新型ウイルス感染症対策として、例えば学校施設では体育館だけでなく教室などを利用することで、健康な人と症状のある人とのゾーニングを明確にし、専用のスペースを設けるよう指示している。

その他、これまでの備蓄品に加えて「3密」を防ぐためのパーティション、床に直接座ることを避けるための段ボールベッドなど新たな備蓄を進めるよう求めている。

熊本・益城町の避難所運営訓練 5月

さらに健康な人が安心して避難できるように、災害が発生する前の緊急避難場所を兼ねた避難所として、安全な場所にある新たな施設を可能な限り確保し、民間のホテルや旅館なども利用できるよう協定を結ぶなど、避難先の増強を求めている。

こうした要請を受けた自治体は、見えないウイルスとの闘いに戸惑いながらも避難所の整備を急いでいる。

大雨シーズンに向けて、自分の住む地域の災害リスクと状況に応じた最適な避難の方法と感染症予防策について予め考えておくことで、不安を少しでも緩和し命を守ることにつなげて欲しいと切に願っている。

社会部 気象防災担当 長坂哲夫