死に直結しかねない感染リスク…二重に死の恐怖を感じながら生きる中皮腫患者
感染拡大… 新型コロナウイルス

死に直結しかねない感染リスク…二重に死の恐怖を感じながら生きる中皮腫患者

  • 日常を一変させた新型コロナウイルス。 その感染の恐怖と人一倍闘っている人たちがいる。
  • がん患者は新型コロナに感染すると重症化のリスクが高いとも言われている。
  • この状況の中、余命宣告を受けた男性が、不安と葛藤を語った。

二重に死の恐怖を感じながら生きる中皮腫患者

右田孝雄さん:
アスベストで中皮腫とか肺がんになっている人は、コロナの危険性が実感できると思う。一般の健常者とは意識が全然違う、気が緩まない。

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大阪府岬町に住む右田孝雄さん(55)。4年前、アスベストが原因とされる特有のがん・中皮腫だと告げられた。

高い断熱性や耐久性から、かつて”奇跡の鉱物”と呼ばれたアスベスト。
駅や学校など私たちの身近な 建物にも多く使われた。

2004年に原則使用禁止になったが、中皮腫はアスベストを吸ってから発症するまで一般的に数十年潜伏することから、今も年間1500人以上が亡くなっている。

右田孝雄さん:
腹くくったんですよ、楽しもうと。私は人と会うのが大好きなので、こういうことをしているとやっぱり楽しくなるし、笑顔で前向きに生きれば何かが変わると思った。

5年生存率が8%ほどともいわれる中皮腫。
右田さんは、「生きる希望を持ち続けたい」とこれまでに全国50カ所以上を回り、同じような境遇の患者たちと励まし合ってきた。

そして、次第にそれが、生きがいに変わった。

右田孝雄さん:
また来年も再来年も来たい。いつものことをいつものようにいつもできるのがええな。

娘・沙織さん(29):
来られるときは盆踊りに限らず、甲子園行ったりとか卒業式にもきてもらって。

右田孝雄さん:
卒業式にも行かないと。

ーーやらなければいけないこといっぱいありますね

右田孝雄さん:

たくさんあるよ、山積み、だから死んでられへん。

しかし、毎日のように駆け回っていた生活は、新型コロナウイルスの影響で一変。
”生きがい”だった患者との交流会はすべて中止になった。

さらに今年4月、状態が悪化し、医師からこのままだと余命1年ほどかもしれないと告げられた。

右田孝雄さん:
今死んだら家族すらも来られないような葬式になってしまうやん。あんなのいやだわと思って。

母・美智代さん:
親より早く亡くなるなんて。それでなくても親孝行してもらわないとあかんのに、まだしてもらってないからな。

「まだ死ぬわけにはいかない」

右田さんは、中皮腫の治療で日本でも有数の実績を誇る医師のもとを訪ねた。

ベルランド総合病院・岡部和倫医師:
腰のところわかるかな?

右田孝雄さん:
骨に巻きついてますね。

岡部和倫医師:
骨の周りにぐるっとあるよね腫瘍が。胸の中から出てきた腫瘍が肋骨と肋骨の隙間を通って、外の方にまで出て来ている。僕自身は手術でもっと状態を改善させてもらいたいという希望は強いが、胸の病気がおなかにもいっているから手術適応がない。

右田孝雄さん:
もしアリムタ(抗がん剤)が効かなかったら一年くらいって言われたけど、そんなもんなんですか?

岡部和倫医師:
1年じゃなくて、誰も正確な予測はできないけど、もっと長い期間上手に病気と付き合っていける可能性はあると思う。盛んに研究されているいい薬が右田さんに使えるようになるのを待って、その薬に期待するのが現状かな。

右田孝雄さん:
娘の卒業式、再来年見に行かなあかんから、それは見たいと思っているから、2年は頑張って生きたいと思っているので。

病気の不安に直面する中、右田さんは人一倍、新型コロナウイルスの恐怖とも向き合わなければならない。

岡部和倫医師:
(がん患者は)免疫の程度ががんにかかっていない人よりも下がっていると思うので、新型コロナウイルスに感染しやすいとか、もし感染したら悪性化の程度が厳しいとかが想像される。(中皮腫患者に)もし新型コロナの肺炎が起こると、もともと肺の機能が低下したところにそういう肺炎がおこると悪性化する可能性は若干高いと思う。

緊急事態宣言が解除されてもこれまでのように患者に会いに行くことはできなくなった。

それでも今できることを懸命にやり続けると決めた。

右田孝雄さん:
きょうお会いする方ほとんどが初めての人じゃないですかね。

インターネットを利用した交流会。週に1回程度、全国の患者たちとつなぎ、不安や悩みを分かち合っている。

夫が中皮腫患者:
出入りの時は必ず消毒と手洗い、万が一、主人がコロナにかかったら、面会もできない、死に目にも会えないと考えてしまうので、中皮腫になってつらいのにそれ以上のつらいことは望みたくないので。

中皮腫患者:
いつ突然なるかわからないと目に見えないもので人によって症状が違う。アスベストをいつ吸ったかわからないっていうのと感情がリンクするなって。

右田孝雄さん:
危険性が切羽詰まっているというか身近なものに見える。

病気の進行に加え、死に直結しかねない感染のリスク。
患者たちは今、2重の恐怖を感じている。

右田孝雄さん:
一般の人はなっても重篤にならない人が多いとか聞いているけど、僕らは命のやりとりになるから。やっぱりちゃんと終息してほしいと思うし、緊急事態宣言を僕らはもっと長くしてほしいと思う。

少しずつ日常が戻っていく一方で、感染のリスクがなくならない限り、日常を取り戻せない人たちもいる。

(関西テレビ)

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