10月16日に開幕した中国共産党大会。習近平国家主席は演説で、アメリカとの距離を縮める台湾について「武力行使を放棄することはない」と強くけん制した。

この発言は、台湾にどう受け止められたのだろうか。大阪に駐在し実質的な総領事にあたる、台湾の幹部・向明徳処長に話を聞いた。

中国は「威嚇を強めている」

台北駐大阪経済文化弁事処 向明徳処長:
さらに憤りを感じております。台湾に対する脅威、威嚇を強めていると認識しております。

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前回、2017年の共産党大会で「平和的統一を目指し、一国二制度を堅持する」と話した習主席が、今回は武力行使にも言及したことに、向処長は強い危機感を持っている。その理由の1つは、香港で起きた弾圧だ。中国は「一国二制度」で香港の自治を認めていたが、強行的に弾圧し、制度は形骸化した。

向明徳処長:
いま台湾の国民は、一国二制度は、もうはっきり嘘だと認識しております。

Q. そのまま一国二制度に従っていったら?

向明徳処長:
香港と同じ運命になります。

そして、向処長が危機感を持つ2つ目の理由が、ロシアによるウクライナ侵攻だ。

向明徳処長:
戦争を防ぐのは何よりも抑止力ですね。抑止力がないと、ウクライナと同じ運命になって中国に侵攻されます。

向処長は、台湾の有事の際には日本も「ひとごと」ではないとして、戦争への抑止力を強めるために、日本と台湾が協力するための法整備などをして連携を強化することが必要だと話した。

向明徳処長:
日本と台湾の間で一番近い距離は与那国島、110キロしか離れてない。いざ、もし台湾における戦争が起こったら、日本も危ないと考えております。安全保障について、アメリカ、日本と手を組んで一緒に抑止力を強めていかなければなりません。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月17日放送)

関西テレビ
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