10月4日、日本の上空を通過した北朝鮮の弾道ミサイル。これを受けて、韓国軍とアメリカ軍はミサイルを日本海上に発射するなどの対抗措置に出ている。

また、アメリカの研究グループCSIS(戦略国際問題研究所)は3日、北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)で「核実験の準備が完了した状態が維持されている」との分析を発表している。

緊張が高まる中、5日の国会では防衛費と反撃能力について議論を求める声が上がった。

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「スタンド・オフ防衛能力」強化へ

2022年8月、防衛省は財務省に来年度の予算の概算要求を提出し、5兆6000億円を要求した。過去最大の概算要求となった防衛費には「スタンド・オフ防衛能力の強化」が盛り込まれている。

「スタンドオフ」とは「離れた状態にある」という意味の言葉で、防衛省は「スタンド・オフ・ミサイル」を配備したいとしている。敵艦隊からミサイルが発射された場合、日本の自衛隊の戦闘機が相手の防空圏外から離れた場所で、ある程度の距離を出せるミサイルで迎撃するというものだ。

敵艦隊からミサイルが発射された場合、自衛隊の戦闘機が相手の防空圏外から離れた場所で迎撃
敵艦隊からミサイルが発射された場合、自衛隊の戦闘機が相手の防空圏外から離れた場所で迎撃

これはミサイルの迎撃だけでなく、敵基地への「反撃能力」として使うことも念頭に置いていると言われている。10月4日の北朝鮮によるミサイル発射以前から、反撃能力についての検討が行われていたということだ。

日本に必要とされる反撃能力、その範囲は

ミサイルを撃ち込まれたときに、迎撃だけでなく相手国の基地などを攻撃し得る反撃能力。防衛省防衛研究所の高橋杉雄氏は、「反撃能力はほとんどの国が持っている。中国や北朝鮮だけではなく韓国や台湾も。持っていないのは日本だけ」と指摘する。

北朝鮮への対抗措置として、アメリカ軍とともに日本海へ「地対地弾道ミサイル」を発射した韓国軍は、「挑発の原点を無力化できる能力と態勢を整えていることを示した」とした。では、日本にはどういった反撃能力が必要なのか。

日本が攻撃された場合、反撃をするタイミングは「ミサイルを撃たれた後」なのか、「明らかに撃ちそうなとき」なのか。また攻撃先は「ミサイル発射拠点」なのか、「現場司令部」なのか、政府に近い「中央司令部」なのかなど、どんな攻撃をどこまで行うのかといった問題がある。

反撃能力についてはまだ、たくさんの議論が必要とされている。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月5日放送)

関西テレビ
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