コロナの感染発生報告はFAXで行われていた!

新型コロナウイルスへの対応を巡り、各自治体や医療機関の負担過多が問題視されている。そのような中、医療現場ではコロナ陽性者が出るたび、多忙な医師らが「発生届」を手書きでFAXする仕組みとなっていたのはご存じだろうか。まさに令和の時代とは思えない旧態依然とした仕組みだが、5月17日の週内からようやくデジタル化されることとなる。テレワークを阻むとされる“はんこ文化”など、今般のコロナ禍の中で日本のデジタル化への遅れが耳目を集めることとなったが、政府が重い腰を上げたきっかけは、ある医師の一つのツイートだった。

 “コロナ発生届を手書きでFAXすることになっている”

 医師がこのように医療現場の非効率な業務を吐露する内容を投稿したところ、たちまちネット上で反響を呼んだ。IT化が唱えられて久しい中での、「手書きFAX」という時代遅れの慣行による業務負担は、まさに「ムダ」そのものといえるだろう。

厚生労働省HPより:この様式をすべて手書きで書かなければならなかった

この当該ツイートに食いついたのが、「ツイッター大臣」の異名を持つ河野防衛大臣だ。河野大臣は早速ツイッター上で、政府のコロナ対策「テックチーム」の事務局長を務める内閣府の平副大臣に働きかけたところ、平副大臣の着手により約1週間で「FAXのWEB対応化」が実現することとなった。

以上、いずれも平副大臣のツイッターより

この一連の流れから、未だに「FAX文化」による業務負担が生じていること、またツイッター上での“パス回し”によってインターネットからの意見が素早く施策に反映されたことに驚かされた。

キーパーソンを直撃!「日本の遅れが顕在化」

「コロナ発生届」をめぐる一連の経緯について、平副大臣に直接話を聞いた。平副大臣は、あくまで「厚労省が進めていたIT化、デジタル化の動きと、私が河野大臣から“パス”された話がうまくタイミングが合った」と述べたうえで、「ツイッターを通じて私が間に入ることによって、改善されたことが現場に伝わった。厚労省だけがやっていたら、自治体に通達文書か何かを出して、それで終わりなので現場になかなか伝わらなかったと思う」と、今回のツイッター上での展開を自賛した。

実は日本の「FAX文化」を象徴するような今回の事案を、CNNやニューヨークタイムズなど海外メディアはこぞって取り上げ、「Fax-loving Japan(FAX大好きな日本)」などと揶揄した。

平副大臣は「日本のFAXは独自の進化を遂げてきた」と持ち上げつつも、「手書きで届いた物をもう一回入力するなんてあり得ない、こういうところはどんどん改善をしていくべきだろう」と語り、今回の「コロナ発生届」をめぐる動きを「非常にいい事例、『ベストプラクティス』になり得ると思っている」と強調する。

さらに平副大臣は「一旦動き始めると、例えば今回は厚労省のIT化がだいぶ進み始めるし、コロナの対応で日本の社会のシステムの遅れが顕在した訳なので、これからの動きは速いのではないかと思う」「今回の『コロナ発生届』のデジタル化は、国全体のデジタル化にとって『こうやればすぐ出来るんだ』と、示唆に富んだ出来事だったと思う」と語る。

「防災×テクノロジー」第1回タスクフォース・2月18日

例えば、政府は今年から、台風被害などの経験を生かし、防災に最新テクノロジーを活用するための新たな作業部会「『防災×テクノロジー』タスクフォース」を立ち上げているが、コロナ対応での好事例、また反省などが教訓として生かされることを願う。

「日本型」のIT活用とは

一方で、平副大臣は「何でもデジタル化すればいいわけではない」とも訴える。そして「世界を見ると、電話番号を取ったり位置情報を取ったりして感染リスクのある人を追いかける国もあるが、日本はそういうことをする国ではない。やはり日本の国柄に合ったITの導入は大事で、『日本型のIT活用』でコロナを封じ込めるべき」との見解を披露した。さらに、政府のIT政策を担う立場から、次のように語った。

「IT技術者は『海外はあれもできる、これもできる』と言うし、専門家は安全性を考えた慎重論を唱えるが、政治家として総合的に判断しながら、日本の国柄に合ったコロナ対策を行うことが重要だと思う。コロナは我々が守ってきた価値観や国の仕組み、社会の仕組みを守りながら、どうやってテクノロジーを導入してコロナと対峙していくかという、非常に高い次元のことが要求されている。国民の皆さんには色んな意見をいただきたい

6月中にも「コロナ接触確認アプリ」の実証実験が予定されるなど、コロナ対策へのIT導入が進みつつあるが、「遅すぎる」との声がある一方で慎重論も少なくない。副大臣の言うように、バランスのとれた「日本型」のIT活用に期待をしたいところだ。

「政治家はツイッター活用を」

さて、今回の一連の動きは、半ばツイッターに端を発するものであったが、ツイッターに力を入れている政治家は増えているものの、多いとまでは言えないだろう。そこで、平副大臣は次のように呼びかけた。

政治家はツイッターをやるべきだと思っている。ツイッターをやっていれば、自分のツイートに対して、こういう意見があるのか、こういう見方があるのか、悪意のある人はこういう言いがかりを付けてくるのか分かる。世論の相場観が分かってくる。とてもいいツールだと思う」

ユニークな投稿で知られる河野大臣のツイッター抜粋

今の政治に対して国民の間では、コロナ対応をはじめ、“声を拾ってくれない”という不満や、失言などによる不信が高まっていることは否めない。ツイッターの活用は、現場の世論を反映するための一つの手段に過ぎないが、政府におけるITの活用と相まって、政治の世界でもITを生かし、世論を政策につなげていくことが一層求められていくのではないだろうか。

(フジテレビ政治部 山田勇)

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