宮崎が誇るブランド鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」。新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込む中、ブランドの維持に向けた取り組みが始まっている。

出荷額は半減、飼料高騰で追い打ち

柔らかくも歯ごたえのある、うま味たっぷりの肉質が特徴の「みやざき地頭鶏」。

炭火焼などで人気のブランド鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」
炭火焼などで人気のブランド鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」
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2007年に県のブランドに認定されて以降、炭火焼を中心に人気を集め、販路を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で主な出荷先となる飲食店での消費が減少し、ブランド存続の危機に直面している。

 
 

宮崎県内最大の生産地である日南市では、大きな影響が出ている。

市内の2019年度の出荷数は約20万羽、出荷額は約4億円だったが、現在は半分ほどに落ち込んでいて、生産者の数も当時に比べ4戸減り14戸となっている。

日南市で8年前から、みやざき地頭鶏を生産する松浦大季さん。現在は新型コロナの影響に加え飼料も高騰していて、苦しい状況にあるという。

 
 

みやざき地頭鶏生産者・松浦大季さん:
取引などがなくなり、地頭鶏の減産など非常に厳しい状況です。ヒナの導入は通常より半減している

 
 

この状況を重く見た日南市は、2021年度の補正予算にみやざき地頭鶏の産地を維持する支援事業として540万円を計上。ヒナを仕入れる際にかかる費用の一部、一羽あたり150円の補助を決めた(2022年1月~3月導入分)。

日南市議会臨時会
日南市議会臨時会

「疲労感軽減」機能も スポーツ業界や学校給食に

また、新たな価値を見い出し、販路拡大につなげる取り組みも始まっている。

2021年9月、みやざき地頭鶏のむね肉に「日常生活の一時的な疲労感を軽減する機能」があるとして、生鮮食品としては県内で初めて消費者庁に機能性表示食品として受理された。

県内の生産者による「みやざき地頭鶏事業協同組合」では2月8日、宮崎銀行女子陸上部にみやざき地頭鶏を約30kg贈呈した。

組合では今後、スポーツ関係者などに「機能性表示食品」という新たな切り口でPRを推進していく考えだ。

また組合では、みやざき地頭鶏の魅力を子どもたちにも知ってもらおうと、国や県の補助金を活用し、小中学校の給食で地頭鶏を提供。

ホームページでは地頭鶏のネット販売を強化し、プロのレシピを紹介するなど、家庭での消費を促す取り組みも行っている。

みやざき地頭鶏生産者・松浦大季さん:
ご家庭でも気軽に食べてもらえるようになっていけば、消費拡大になっていくので、これからに期待したいです

みやざき地頭鶏生産者・松浦大季さん:
自分たち若い世代が守っていかないと、なくなっていくと思うので、頑張ってやっていきたいです

揚げても柔らかい 調理法を工夫しおいしさアップ

日南市では飲食店でも、みやざき地頭鶏の新たな魅力を引き出した料理の提供を始めている。

松浦大季さんの父・勇さんは、地元の人にも気軽に地頭鶏を食べてもらいたいと、2018年に昼食がメインのお店を開店した。

 
 

みやざき地頭鶏の炭火焼はもちろん、親子丼などを提供。コロナ禍の2021年には新メニューとして、地頭鶏のむね肉を使ったカツ丼を開発した。

新メニュー「みやざき地頭鶏のカツ丼」
新メニュー「みやざき地頭鶏のカツ丼」

揚げても柔らかくなるよう調理法を工夫し、地頭鶏のおいしさの可能性を広げている。

とり松店主・松浦勇さん:
自分のところだけではなくて、地頭鶏全体が消費が伸びると一番いいですね。自分も食べておいしいと思うので、地元のお客さんに食べてもらいたいです

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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