新型コロナに便乗した悪質商法の相談が急増

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、便乗した“悪質商法”への懸念が広がっている。

国民生活センターに寄せられた新型コロナウイルスに関する相談は、今年1月から4月9日までに1万2142件。1月は152件、2月は2256件、3月は8163件、今月は1日から9日まで1571件と、2月以降に急増しているのだ。

具体的には、息子を名乗る男から電話があり、新型コロナウイルスを口実にお金を搾取しようとする“オレオレ詐欺”の事例や、役所などの公的機関や携帯電話会社などに“なりすまし”て、新型コロナウイルスを口実に個人情報や口座情報を詐取しようとする事例が報告されているという。

なお編集部では既に3月に1度、新型コロナに便乗した詐欺の手口を紹介している。

(参考記事:「マスクを無料で送ります」は要注意! 新型コロナ“便乗詐欺”が増えている…手口と対策を聞いた

では、新たに増えてきた新型コロナウイルスに便乗した“オレオレ詐欺”や“なりすまし詐欺”はそれぞれどのような手口なのか?また、そうした手口に対策はあるのか?

国民生活センターの担当者に話を聞いた。
 

新型コロナウイルスに便乗した“オレオレコロナ詐欺”の手口とは?

――新型コロナウイルスに便乗した“オレオレ詐欺”、どんな手口が報告されている?

「息子を名乗る男から電話があり、新型コロナウイルスを口実にお金を搾取された」という事例が3月に報告されています。こちらは、80歳代の女性からの相談です。

この女性の自宅に、息子を名乗る電話があり、「会社で事件を起こして上司からお金を借りたので、代わりに返済してほしい」と頼まれました。

その後、上司を名乗る男性からも電話があり、「息子さんから聞いていると思うが、お金を貸しているので約100万円を返済してほしい。新型コロナウイルスの騒ぎでこちらもお金に困っているので、すぐにでも返してほしい」と言われたというのです。

指示通りに約100万円の現金を用意して、自宅で渡すつもりでしたが、再度、上司から電話があり、「自身は所用で行けなくなった。代わりに別の人が伺うので、自宅ではなく別の場所で引き渡してほしい」と言われました。

返済するのであれば上司本人に手渡したいと伝えたが聞き入れられず、不審に思いながらも指定された場所に行き、若い男性に現金を手渡しました。

すると、その後、上司から電話があり、「約100万円は確かに受け取った。本日の夕方に領収書を届ける」と言われたそうですが、上司は来ることはなく、後から詐欺と気付いたのだということです。
 

“なりすましコロナ詐欺”の手口も紹介

「市の新型コロナウイルス対策室を名乗り、個人情報を聞き出す不審な電話を受けた」という事例が3月に報告されています。

「○○市コロナ対策室です。この度は新型コロナウイルス感染のことで、大変ご心配をおかけしています。お見舞い申し上げます。市では、このような皆様に助成金をお配りしています。お子様1人当たり3万円です。つきましてはキャッシュカードの番号又は銀行口座番号に振込みますので番号を教えてください」という電話がかかってきたということです。

こちらは電話を受けただけで、被害にはあっていません。

こちらの手口では、この他にも以下のような事例が報告されています。

・携帯電話会社名で「新型コロナウイルス関係の助成金を配布する」とのメールが届いた。
・自宅の固定電話に「新型コロナウイルスの検査が無料で受けられる。マイナンバーが必要。これから自宅に行く」という電話があった。
・信用金庫の職員を名乗る電話があり、「新型コロナウイルスの関係で必要」と口座番号と暗証番号を聞かれた。
・水道局をかたり、「新型コロナウイルスがついているので除去する」と不審な電話があった。
 

(画像はイメージ)
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“なりすまし詐欺”の場合「怪しい電話はすぐに切り、メールは無視」

――それぞれ、どんな対策をすればよい?

まずは、新型コロナウイルスに便乗した“オレオレ詐欺”の対策ですが、他人には絶対に現金を手渡したり、暗証番号を教えてはいけません。

オレオレ詐欺の犯人は、住所が記載された電話帳や学校の卒業生名簿など、事前に多くの個人情報を入手してから、だましの電話をかけています。

家族の職場の関係者や警察などの官公庁、金融機関などを名乗る電話があった場合、すぐに信じることなく、相手の電話番号を調べましょう。そして必ず、家族の本来の番号に電話をしてください。

また、他人には絶対に現金を手渡したり、キャッシュカードなどの暗証番号を教えてはいけません。お金を「送る・手渡す・振り込む」前に相談しましょう。

 

――では、新型コロナウイルスに便乗した“なりすまし詐欺”の対策は?

この場合は、怪しい電話はすぐに切り、メールは無視してください。

電話やメールなどで「助成金があるので個人情報や口座情報を教えてほしい」と言われたら、詐欺の疑いがあります。こうした電話はすぐに切り、メールは無視してください。

また、金融機関の職員を装って、口座情報や暗証番号を詐取しようとする相談もみられますが、事業者団体や金融機関、警察が暗証番号を尋ねたり、キャッシュカードや通帳を送るように指示したりすることは一切ありません。

電話や訪問をされたり、メールなどが届いても、絶対に口座情報や暗証番号を教えたり、キャッシュカード、通帳、現金を渡したりしないでください。
 

今後予想されるのは「現金給付」「マスク配布」に関連した手口

――「緊急事態宣言」「休業要請」に関係する手口は報告されている?

今のところ、ありません。


――今後、予想される手口を教えて

「現金給付」「マスク配布」など、公共機関の施策に便乗した手口が出てくる可能性が考えられます。

 

テレワークや緊急事態宣言による外出自粛要請で、自宅で過ごす人が増えているため、不審な電話に出る可能性も高くなっている。もし、不審な電話がかかってきても、慌てず「すぐに切る」「現金を渡さない」「暗証番号を教えない」といった基本的な対策をとることがやはり重要だ。
 

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プライムオンライン編集部
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