衆院選で星野伊佐夫新潟県議から「裏金を要求された」と主張する自民党の泉田裕彦衆院議員が12月3日、証拠とされる音声データを公開した。

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これを受けて星野氏は3日夕方会見し、裏金の要求を改めて否定した。

「裏金」を要求されたとするやりとり詳細

FNNが他のメディアに先がけて入手した音声…

元新潟県知事の自民党泉田裕彦衆議院議員が裏金を要求されたとするやりとりが記録されている。

星野県議とされる人物
とにかく必要経費を早くまこう

星野県議とされる人物
これ2000万や3000万出すのにもったいながったら人生終わるよ

録音されたのは衆議院選挙公示前の9月4日。場所は星野氏の自宅だという。

声の主とされる新潟県の星野伊佐夫県議は3日午後4時ごろから会見を開き、次のように反論した。

星野伊佐夫新潟県議
本当に一番大事な部分を、私この時話しているんですよ。これが抜いてあります。完全に抜いてあります。政党活動費については当然各支部に払うのは当たり前。一番の問題は「裏金」という言葉であります。文言。何言ってるの?こんなこと言ってないでしょ

裏金ではなく政党支部での活動費について話したという主張だった。

“新潟のドン”星野県議は泉田氏の後ろ盾だったが…

星野氏は国会議員がなることが多い自民党新潟県連会長を7年以上を務め、新潟のドンともいわれた重鎮。

泉田氏が2004年に新潟県知事選に出馬したときから後ろ盾となってきた。

そんな星野氏から裏金を要求されたと告発の声を上げた泉田氏。音声の人物が強調していたのは落選への危機感だ。

星野県議とされる人物
このままでいったら比例にもひっかからないんだから、ダメだね。とにかく必要経費を早くまこう。泉田さ、勝負をやろうや。これはねえ、2000万や3000万の金をね惜しんで一生を投げちゃいけない

星野県議とされる人物は、衆議院選挙の世論調査で対立候補にリードされ比例での復活当選も難しい状況だと説明。その上で2000万円から3000万円という金額を出し、「必要経費をまく」ことが必要だと迫る。

これに泉田氏が参議院広島選挙区で起きた大型買収事件を挙げ、断る意思を示したところ…

泉田裕彦衆院議員
広島で(買収事件)あったでしょう?

星野県議とされる人物
そんなこと言ったらキリがねぇから。絶対ダメだというのは当たり前。裏はみんなそういう世界なんだから

「裏はそういう世界」そう話すと、秘書にもこの話をしないよう釘をさした。

星野県議とされる人物
この話は、もう早く言えば(秘書の名前)の耳にも入れてはいけない…

星野県議とされる人物
あんた1人。1人の腹にして、誰にも言っちゃならねぇ。まくというのは、ばらまくんじゃねぇちゅうて。(咳払い)実力者、地区地区の。例えば、(咳払い)南魚沼市の(個人名)…

星野県議は会見を開き 音声内容を否定

お金をまくというこの発言について、星野氏は3日夕方の会見でこう否定した。

星野伊佐夫新潟県議
あのねぇ。お金をまけというのは一番怖いでしょう?選挙やなんかの中でお金をまくよなんて。これは言わないわね。これは泉田さんが、自作(したの)でしょうね

しかし先ほどの音声では「実力者にまく」と言っているように聞こえるが…

星野県議とされる人物
まくというのは、ばらまくんじゃねぇちゅうて。(咳払い)実力者、地区地区の。例えば、(咳払い)南魚沼市の(個人名)…

星野氏は3日午前9時半すぎ泉田氏とのやりとりについてこう話していた。

星野伊佐夫新潟県議
全部思い出しましたから。全て…

しかしFNNの記者が午後2時すぎ、入手した具体的な音声の内容について読み上げて確認したところ、こう反論した。

星野伊佐夫新潟県議
きのう、きょう作ったテープでしょ?私のテープじゃないよ。えー、改ざんしたテープだね

と、音声でのやりとりは改ざんしたものだと否定した。

音声内容が事実なら違法行為となるのか?

この音声内容が事実なら金のやりとりがなくても違法行為となるのだろうか?

番組のコメンテーターでもある住田裕子弁護士は「実力者にまく」という発言があった点を挙げこのような見方を示した。

住田裕子弁護士
今回の場合は実力者にまく、それも2000万、3000万というある意味で丸めた数字ですね。票の取りまとめ、いわゆる選挙運動をすることに対しての報酬とみられますから、今回の場合は違法性の認識が明確に出ているやりとりだったと思います。つまり公職選挙法違反であるということですね

事の真相はどこまで明らかになるのだろうか?

イット!のスタジオでは…

イット!のスタジオではコメンテーターで明治大学教授の齋藤孝さんに話を聞いた。

加藤綾子キャスター
直接その裏金を要求していないにしても、「お金を払わないとやっぱり選挙って大変だよ」というニュアンスにも感じてしまいますし、あの音声を聞く限りやはり立場が強い人から要求されて正義を通そうとしたら選挙に協力もしてもらえない。こういうことが繰り返されているのかなと感じてしまいますよね?

明治大学・齋藤孝教授
確かにね。慣習的にお金を渡しているシステムがあるというのが、今回の音声から感じられますよね。地方には大ボス、中ボス、小ボスみたいなのがいて、誰がやったかわからないような、うまくやるシステムができちゃっているのかなという印象を持ちますね

加藤綾子キャスター
そうですね、今回の音声を聞くと。ただこれは政治への信頼に関わってきますから、事実関係を明らかにしてもらいたいと思います

(イット! 12月3日放送より)