仏政府の要請受け、消毒液生産を開始
化粧品大手の資生堂が、手肌用の消毒液をフランスやアメリカで生産することを決めた。
資生堂はフランス政府からの要請を受け、手肌用の消毒液の生産をフランス中部・バル・ド・ロワールの工場で3月26日(日本時間27日)から開始した。通常はスキンケア商品や香水など製造をしている工場だ。
化粧品を作るために必要なアルコールを扱う技術を生かし、工場の一部を消毒液の製造に充てるという。
工場に大量生産のラインが整っていることも、消毒液の製造に踏み切った要因だ。自社工場の既存の設備で製造できることから新規の設備投資も必要ない。
一週間に2万本のペースで製造するとしていて、現地の医療機関に無償で提供する。

またアメリカでも、通常スキンケアやメイクアップを製造する工場で、4月6日の工場再開をめどに消毒液の製造を始める。
新型コロナウイルスの感染拡大による、消毒液の供給不足の解消につなげたい考えで、生産した消毒液の提供先は今後検討するとしている。
サントリーは「ジムビーム」生産拠点で
消毒液をめぐっては、サントリーホールディングスもアメリカにあるウイスキーの生産拠点で製造するなど、異業種による生産が相次いでいる。
グループ傘下のビームサントリーでは、ウイスキーの主力商品「ジムビーム」のアメリカの生産拠点で、3月 消毒液の生産を始めた。

生産拠点があるケンタッキー州政府などの要請を受けたもので、地元の大学に対して消毒液に適したアルコールと容器の提供を始めている。
サントリーは、日本での消毒液の生産については未定だとしている。
また、カナダの蒸留所でも消毒液やアルコールの生産を検討しているほか、スペインでも消毒液の原料となるアルコールを提供する準備を始めている。
日本企業による海外での新型コロナウイルス感染予防の貢献が、今後も広がりそうだ。
(フジテレビ報道局経済部 奥山未季子記者)