なぜ・・・住宅街のど真ん中にゴミの山

佐賀・神埼市にある、とある住宅。
その窓を開けると、異様な光景が飛び込んできました。

住民:
風が強く吹くと結構ほこりが・・・。

この記事の画像(8枚)

目の前に広がっていたのは、ゴミの山。高さは、約5メートルあります。
のどかな住宅地にうずたかく積み上げられた産業廃棄物が、長年、住民たちを悩ませ続けているといいます。

近隣住民:
ひっきりなしにダンプカーが行ったり来たりしてました。
まさかこんなふうになるとは思わなかった。
風が吹いたらゴミが結構舞う。

Q. ゴミが飛んでくるんですか?
近隣住民:
風が吹くとゴミも飛んでくる。埃だね。

県と市が行政代執行の準備を進める異例の事態となっています。

増え続ける廃棄物に不安の声

冷蔵庫にソファ。瓦のようなものが入った袋。無数に積み上げられた廃棄物です。
敷地面積は約300平方メートル。

2020年3月時点では、トラックや重機が入れるほどのスペースはありましたが、今では、あふれんばかりの量になっています。
県や市によると、この土地は市内の解体業者が借りたもので、2019年ごろから廃棄物が運び込まれるようになりました。

ディレクター:
フェンスを若干突き破って、隣の方の土地にまで廃棄物が倒れ込んできている状況です。

すぐ隣に住む人は不安を募らせていました。

すぐ隣に住む人:
これは冷蔵庫が一回落ちた。とにかく早く退けてもらわないと。また台風も来たりする。

大雨でゴミが流出、悪臭、業者の迷惑行為も

近隣住民の許可を得てドローンをとばし、上空から見てみると、ゴミの山のてっぺんにも冷蔵庫などが積まれているのが確認できます。
2020年に大雨に見舞われた際には、冠水してゴミが流出したといいます。

ゴミの山を確認してみると、小さい家庭ゴミのようなものも混じっています。

近隣住民:
汚いですね。早く取ってもらいたいですね。
風とか吹いたり雨とか台風とか来た場合が、こっちの方にゴミが流れてくるから。
ずっとこの辺、いっぱい流れてきたね。

問題は、それだけではありません。

近隣住民:
お隣は雨戸閉めている、くさいから、「風向きによっては臭いがする」って。

近隣住民:
油の匂いとかが結構してたので、火事とか起きたら大変でしょ。

住民が語ったのは悪臭や火災への不安。
中には、業者による迷惑行為を指摘する人も。

近隣住民:
車が何台も来て、夕方ぐらいにジャーッと落として帰る。
そこで飲み食いして、そこら辺に放って散らかして、ペットボトルや弁当の空き殻がいっぱい置いたままだった。

ゴミを運び込む業者は、数台の車で大人数でやって来るといいます。
またある時、住民が見たという光景が・・・。

近隣住民:
お酒を飲んで騒いだり、裸踊りしたりもしていた。

ついに行政代執行へ

住民たちは、2年ほど前から県や市に相談。
ゴミの撤去を求める要望書も提出しました。

住民からの陳情を聞いてきた、佐賀県議会の古川裕紀議員に話を聞くと・・・。

古川裕紀議員:
心労を訴える方も中にはいらっしゃって、ご近所の中では入院されたという話も伺っています。

県は2020年3月以降、業者に対し、文書や口頭で数十回に渡って指導を重ねてきたといいます。それに対し、業者側の対応は「片付ける」というもの。撤去の意思を示し、改善計画書なども提出してきたといいますが、いっこうにゴミの山は消えず。
さらに、2021年7月には、県と市が撤去と崩落防止の措置命令を出したものの、8月末の期限を迎えても、改善されることはありませんでした。

そしてついに、県と市はある決断を下しました。
佐賀県と神埼市は、行政代執行による撤去に向けて準備を進めることを決定し、予算も計上しました。

古川裕紀議員:
全体で予算としては2300万。9割が産業廃棄物で1割が一般ゴミというような判断のようです。

県と市は、費用は業者に請求する方針だとしています。 

「めざまし8」は渦中の業者と接触、取材を申し込みましたが、最終的に回答を得ることはできませんでした。
住民たちの平穏な日々が戻ってくるのはいつになるのでしょうか。

(「めざまし8」10月12日放送)