世界のピークアウトは早くて7月
世界を混乱に陥れている新型コロナ肺炎。記者会見や国会の参院予算委で、記者や野党議員が安倍首相に「終息はいつか」と聞いていたが、それがわかれば苦労しないんですよ(怒)!
ただトランプ米大統領はピークが早くても7月になるとの見方を示した。欧米の混乱ぶりを見ると、確かにそれくらいの時間はかかりそうだ。
それに比べてアジアは少し落ち着きを取り戻しているように見える。中国がどこまで情報を公開しているのかわからないにせよ、「ピークアウトした」というWHOの見方は間違っていないだろう。
また日本は死亡者の少なさを見る限り、「爆発的な感染拡大に至っていない」とする政府の専門家会議の見解は正しいし、数千人の感染者を出した韓国もその後ピークアウトしたのではないかと見られる。
つまり混乱はアジアから欧米に移っている。ということは欧米も同じくらいの期間が過ぎればいったんピークアウトするであろうことは予想できる。もちろんこれは全くの「終わり」ではない。実は日本もこれから本格的な感染期に入るのかもしれない。ただ第2、第3の波は来るにしても、パニックや混乱は一度落ち着かせなければいけない。
なぜなら経済が混乱し社会不安にまでなっているからだ。株が下がり、関係業界から悲鳴が上がっている。日本国民は「コロナショック」にどう向き合っていくのか、一度態度を決めた方がいいと思う。
国民が欲しいのは「安心」だ
小中学校の休校については、大阪市が新学期から再開すると発表したというニュースを聞き、僕は安倍首相が全国レベルで新学期から小中学校を再開するのだろうと思った。
さらに松井大阪市長は花見の自粛要請をやめることを発表した。「換気の悪い密閉空間」で、「多くの人が密集」し、「近距離での会話」する、という専門家会議が示したいわゆる「感染クラスターの3条件」を満たさなければ、施設やイベントを再開する方針も示している。
首相はこの「大阪方式」を踏襲すべきだ。もともと首相の全国レベルでの休校要請は大阪の休校を受けたもの。そして大阪の休校は2009年の新型インフルの際に当時の橋下大阪知事らが大規模な休校で感染拡大を阻止したという成功体験をなぞったものだ。
日米両国が思い切った金融緩和措置に踏み切ったものの市場の混乱は収まっていない。今後財政措置はもちろん必要だが、それより重要なのは「安心」である。新型コロナ肺炎がいったんピークアウトし、混乱が収まれば、人々は安心し、徐々に普段の経済活動に戻る。逆に不安なままではいくら金利を下げようが、あるいはお金をばらまこうが、人々は家に閉じこもったまま出てこない。
首相は専門家会議の報告を受けた上で、まず「アジアがいったん落ち着いて感染の混乱は欧米に移った」という事実と「コロナと上手に付き合っていかねばならない」という心構えを国民に伝えるべきだ。
そして手洗いうがいや人混みを避ける、発熱したら自宅で休む、などのこれまでの注意事項を続けることを確認し、その上で過剰になっている自粛を解除すべきだ。同時にコロナショックに苦しむ業種、特に中小零細業者に対する支援を強化する。
国民はコロナの現状と政府の対策、そして自分が何をすればいいのかがわかれば安心する。
安心した後は一人22万円のバラマキ
安心した後はもちろんバラマキも必要。野党などから消費税を5%に下げろという案が出ているが、そんなケチ臭いことを言っていてはいけない。この際10%全部いっちゃった方がいい。ただ消費税減税はお店の手間がかかるし、元に戻すのが大変なので、その分を現金給付する。
消費税10%の年間の税収は22兆円くらい。同じ額を国債発行して確保し、18歳以上の国民1億人に配れば1人22万円だ。キャッシュではなく、期限付きの商品券や地域振興券の方がもっといい。安倍首相が国民1人に22万円配ると言えばインパクトは大きい。ちなみに香港は1人14万円配るらしい。1400ドルだ。日本は22万円の2200ドルで香港に楽勝。国際的にも話題になると思うがどうだろう。
【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】
【表紙デザイン:さいとうひさし】