観光大国になるためには何をすべき?
日本が観光大国になることを目指し、はや10年。
インフラ整備や外国人向けサービスの提供などが進められ、オリンピック開催は外国人観光客を誘致するさらなる契機となるわけですが、日本がより観光に力を入れた国となるために何に着目すべきか。
株式会社ジープラスメディアが在日外国人におこなった質問調査「日本がより観光大国になるためには、何をすべきですか?」の回答結果(複数回答)の上位5つをもとに考える。
1.英語能力アップ:会話、標識、英語ができるスタッフを増やす 50.1%
回答者の半数が「日本人の英語能力は不十分」と感じているようです。観光立国を名乗るなら、英語が公用語の香港やシンガポールのように「英語が通じて当たり前」が急がれているのです。
飲食店やアパレルなどの接客業でいうと、お店に1人でも商品の説明ができる・具体的な提案ができる店員がいれば、とりあえず安心できそうですが、日本が誇る伝統工芸やデザイン性の高い小物などは「その由来」や「こだわり」を聞いてこそ価値が増すものですから、ぜひ説明できる外国語力が欲しいですね。
移動・観光の場面で片言の英語での説明、宿泊においては日本語がわかる人がいないと宿泊できないという旅館さえある現在のままでは、観光大国としての成長は見込み難いといえるでしょう。
2.公共の場での喫煙を禁止する 30.0%
欧米では公共の場での喫煙が禁止されている国が多いです。
喫煙率の高いロシアですら、2014年のソチオリンピックの前年に公共の場での喫煙を禁止する法案が施行されました。日本も望まない受動喫煙を防止するための法律が4月1日より全面施行されましたが、駅周辺の喫煙スペース・コンビニエンスストアなどたばこを販売する店舗の多さ・日本製たばこの種類の多さは子供にも目につきやすく、あたかも日本の社会全体が喫煙に寛容であるかのような印象を与えてしまいます。
3.コンサートのチケットを買いやすくすべき 10.3%
驚くべきことに、日本の主要チケット購入サイトのほとんどは英語版がない。登録画面がすべて日本語!
大抵の場合、48時間以内に支払いをしないといけない。そもそも手順が複雑!
外国のクレジットカードは使えない。日本のチケットはコンビニで発券できるなど、一見、便利なように見えて、実は、その機器の操作が意外と手順が多いです。チケットは時と場合により値段が変動し、不公平感満載です。
ここに行けば買えるという情報が明確に一本化されれば、訪日外国人にとっても買いやすくなると思います。例えば、外国人が集まる場所、国際空港などにツーリスト専用チケット窓口があると、外国人旅行者にも日本のエンターテイメントを提供できるのではないでしょうか。
人気グループのコンサートは会費を払って入会するファンクラブに入っていてもチケットがとれないと聞きますが、どのエンターテイメントにしても人気のあるものは買い方にコツがあったり、入手法が多様だったりと、外国人にはハードルが高いと思います。
4.外国のクレジットカードを使いやすくすべき 6.5%
特にアメリカで作ったクレジットカードが使えない、という声をよく聞きます。理由は日本のシステムが対応していないこと、カードの後ろにある3ケタのPINコードがないため使えない、あらかじめ自国で利用制限を解除していない、ということがあるようです。セキュリティー面においても日本のクレジットシステムは遅れていると言われています。
キャッシュカードの利用も、日本では24時間使えるATMが限られているので、24時間無料で使える国と比べると不便さを感じずにはいられません。
5.外国人に対してタトゥーを禁止するポリシーを辞めるべき 6.3%
温泉、プールでよく目にする「入れ墨・タトゥーお断り」の表示の意味、かつて筆者は衛生面の理由からだと思っていました。しかし、タトゥーをしている人すべてが拒否されることは不可解です。納得いきません。日本は文化的に入れ墨をしている人を避けていることが一番大きな理由なのでしょうが、海外のタトゥーは意味が違います。
ポリネシアでは社会的地位を示すものであり、代々そのモチーフを受け継ぐものです。また、欧米ではメッセージ性やアートの要素が強いものです。日本ではあまり見かけませんが、海外ではタトゥーをしている人を普通にみかけます。そんな彼らが日本に来てタトゥーを理由に拒否されたらさぞかしびっくりすることでしょう。
以上の調査結果から、これらはまさに今の日本にすぐにでも変えてほしいと期待されていることなのだと気付かされます。
日本が真の観光大国になるためには、まず、私たちの意識を変えることからではないでしょうか。
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2017年5月26日~2017年6月16日
対象:日本に滞在・居住経験がある外国人男女601名(有効回答数・ウェブ調査会社Syno Japanと株式会社ジープラスメディアによる共同調査。ジャパントゥデイのユーザーからの回答)