大船渡高校から28年ぶりに東大生誕生

ドラフト1位でプロ野球・千葉ロッテマリーンズに入団した佐々木朗希投手の母校・大船渡高校から、今度は、28年ぶりに東大生が誕生した。

東京大学・理科一類に現役合格をはたした新沼拓豊(たくと)さん。
 

 

大船渡高校からの東大合格は28年ぶりの快挙。

東京大学(理科一類)に現役合格・新沼拓豊さん:
最後の方の模試までずっとE判定が続いていた。そこから無理やり自分を奮い立たせて頑張ったので、なんとか(得点が)上がったのかな

東大合格の鍵は「大船渡学」

東大E判定だった新沼さんがなぜ合格できたのか。要因の1つが、学校独自の探究プログラム「大船渡学」。
 

 

夏休みに1、2年生を対象に行われた大船渡学・夏の陣。生徒たちが取り組んでいるのは、数学や英語ではなく、自分だけの「問い」。企業を訪問したり、インターネットを活用したりして自分の「問い」を探求していく。
 

 

「問い」を立てるのが好きな新沼さんは、1年生のころから大船渡市のビジネスコンテストに出場してきた。

東京大学(理科一類)に現役合格・新沼拓豊さん:
ホヤを使った新しいビジネスを考えていた。エキセントリックな見た目を使って、逆にそこの部分を引き出して、みんなに広めるみたいな計画を立てていた

常に学校の外に目が向いていた新沼さん。ILCの認知度を上げようと、「大船渡学」で子ども向けの先端科学講座の開催を計画した。
 

 

しかし、小中学校に受け入れてもらえず、学童保育で開くことを思いつき、実行した。

新沼さんに数学を指導した小田島新教諭:
何を学びたいのか、そこに焦点を当てることによって生徒の自由で新しい発想がどんどん出てくる

東京大学(理科一類)に現役合格・新沼拓豊さん:
東京大学に入ったらAI(人工知能)の勉強ができたらいいなと。いろいろな分野に活用できるので、いろいろな分野のものを作ってみたい

“先生も生徒も探求心を持とう”

大船渡高校の国公立大学の合格者は、県北・沿岸地域の進学校で最も多い84人。
新沼さんの幼馴染・山崎淳史さんは、8年ぶりに大船渡高校から北海道大学に現役合格した。
 

 

8年ぶりに北海道大学(総合理系)合格・山崎淳史さん:
恥ずかしながら、自分の受験番号を1桁間違えて覚えていて、30秒ほど「落ちた」とショックに沈んでいて、そこからの逆転合格ではないですけど…

山崎さんと新沼さんは、お弁当を食べながら東大の過去問題などにみんなで取り組む「べん部」のメンバーだった。
 

 

8年ぶりに北海道大学(総合理系)合格・山崎淳史さん:
日本語における「は」と「が」の違いを英語で表すとどうなるか?受験勉強というより、学問の入り口にみんなでたどり着く
 

 

大船渡高校では、ほぼ全教科でアクティブラーニング型の授業を行っていて、例えば数学では、先生は冒頭に問題を出すだけ。大船渡学で問いを立て、探求する姿勢を身に着けた生徒たちは、仲間と議論しながら問題に取り組む。

新沼さんに数学を指導した小田島新教諭:
何かが得られなくても立ち向かう姿勢、勉強につまずいた時でも、仲間と一緒に立ち上がり歩いていく姿勢。それを手探りの中で、生徒たちは苦しみながらもやりたいことは何なのか、なぜやりたいのかを突き詰めていく
 

 

ーー先生の探求テーマは?

新沼さんに数学を指導した小田島新教諭:
“だし巻き卵”には“砂糖”を入れない方がいい

東京大学(理科一類)に現役合格・新沼拓豊さん:
卵焼きには砂糖を入れないと甘くないので、砂糖を入れてほしい

新沼さんに数学を指導した小田島新教諭:
塩を少々と砂糖で作ると、いわゆる「お弁当用」のおいしい甘い卵焼きになる。だしを入れる時は砂糖を入れないことを学んだ。僕も“探求”している
 

 

“先生も生徒も探求心を持とう”という大船渡高校の教育スタイルが、何事もじっくり考える新沼さんの個性と学力を伸ばし、東大合格へと導いた。

新沼さんの同学年には、ドラフト1位でプロ野球のロッテに入団した佐々木朗希投手がいる。

東京大学(理科一類)に現役合格・新沼拓豊さん:
(佐々木朗希投手は)クラスが違うので会話はあまりないけれど、遠くから見てても、一目で(佐々木投手が)いるとわかる感じ。すごい背高いなって。みんな 震災を越えてきたので、震災を越えられるくらいの力があるので、みんな羽ばたいてくれたらなと思う
 

 

(岩手めんこいテレビ)

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