都の男性育休取得率は国より高い

小泉進次郎大臣の「育休宣言」から男性育休への注目が集まっている。
東京都の小池知事は小泉大臣の育休についてエールを送っているが、東京都の男性職員の育休取得率は 10.6%(※国と同じ計算方式だと14.6%に、国の12.4%を上回る)。

東京都は、男性の育休取得率について、当面、15%まで引き上げるとの目標を掲げ、様々な取り組みに乗り出しているが、そんな中、近く育休を取る予定の男性職員に話を聞くことができた。

この職員は30代前半で、役職は係員と管理職をつなぐ課長代理。今月末から来月にかけて1週間ほど育休をとるという。

この職員は、2018年12月に第一子が誕生。子どもは1歳を超えている。

--なぜ、あえて今、育休を取るのか?

「妻が4月から職場復帰するので妻の復帰を支えるために育休を取りました。この1週間で離乳食作りなど育児に参加したいと思っています」

--これまでは、なぜ育休に参加しなかったのか?
「土日は妻と一緒にいるので育児は2人でやることが多いです。ただ、妻は、私ひとりで育児をできるかどうか不安そうに見ています…今回の育休期間で、私ひとりでも育児ができると、安心してもらえるのではないか、と思いまして」

--育休を取るときに周りの人にはどう話したのか?
「育休を取った方がいいね、と言う男性職員や育休経験者が周りに多くいるので言い出しやすかったです。仕事の引き継ぎについても、自分だけがやっている業務や細かいものは、手順をメールで残して伝えていくようにしています。常日頃から、仕事の引き継ぎを気にしておけば、まとまった引き継ぎ時間をとらなくて済みます。また、周りに「育休を取ります」と普段から言っていくと周りの人たちが自ずと引き継ぎの体制になってくれて、「今から打ち合わせに同席しよう」とか「レクに一緒に入ろう」と声をかけてくれるようになります」

充実内容の育児ハンドブックが評判

確かに、東京都の“男性育休取得率アップ”作戦は多彩だ。

都庁男性職員は、制度として、パートナー(事実婚も含む)の妊娠がわかった場合に、育休の取り方などについて上司や先輩職員に相談するよう求められている。もちろん、相談された側も、相談に乗るよう求められている。

また、分かりやすく、多岐に渡っていると評判の、育休ハンドブック「TOKYO PAPA SHOKUIN(パパ職員)GUIDE BOOK」も存在する。

東京都の育休ハンドブック
ハンドブックにはさまざまな情報がのっている

「一番のハードルは都庁の組織風土」

この他に、有給の「育児時間」やテレワークの拡充などもある。ただ、都議会議員の尾島紘平氏は、東京都の男性職員の育休について「一番のハードルは都庁の組織風土」と指摘する。

尾島紘平 都議

尾島都議のもとには、複数の子どもを持つある男性職員から、次のような声が寄せられた。

「都庁の男性職員には、残業をしてでも、休日出勤をしてでも、プライベートを犠牲にして、職場にいる人が評価され、出世をするようなところがあります。それがチキンレースの状態を生み出しています」

「男性の育休は、依然として一部からは”休み”という認識で見られています。どれだけ辛い業務でも、家庭のことを気にせず働けている方が心身ともによっぽど楽なのですが…。多忙を極める職場だと、育休を取るにも、周囲に対して非常に気まずいです。」

尾島都議は「都庁は良くも悪くも真面目な組織であるがために、柔軟さには欠けるのかも」と指摘する。

それぞれ家庭の事情に合わせて選択できる柔軟さが重要

役所も民間企業も、男性の育休取得率は、確かに未だに低い。

「男性も育休を取るべし」と言う声をあげていかないといけないだろう。
ただ、近い未来には、男性が育休を取るのか、女性が育休をとるのか、どのぐらいの長さで育休を取るのか、それとも育休が全くとらないのか、などなど、それぞれの家庭の事情に合わせて選択できる、柔軟な役所・企業などが増えていくことが最も重要だろう。

果たして、東京都が、その旗振り役になれるだろうか。

【執筆:フジテレビ報道局社会部 都庁担当 小川美那記者】

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