巣は作られると約5カ月間、多くのハチが出入りする

刺されると死亡することもあるスズメバチ。専門の業者は駆除のピークを迎え、警戒を呼び掛けている。

事件現場のように規制線が張られた福島県天栄村の県道沿いにあるバス停。その待合室にいたのは「キイロスズメバチ」。

攻撃性が非常に強く、毎年全国で人が襲われる被害が数多く確認されているキイロスズメバチ
攻撃性が非常に強く、毎年全国で人が襲われる被害が数多く確認されているキイロスズメバチ
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攻撃性が非常に強く、毎年全国で人が襲われる被害が、数多く確認されている。直径20cmの巣は、1度作られると約5カ月間使われ、多くのハチが出入りする。

地元の区長の依頼を受けて巣の撤去に訪れたのが、農学博士でハチの駆除を専門に行う大類幸夫さん。

ルイワン蜂・害虫駆除センター 大類幸夫代表:
毎日、ほとんどひっきりなしで依頼が来ています。9月が一番凶暴性が高いせいか、一番刺される時期です。スズメバチの数が最も多くなる時期で兵力がかなりあるので、襲うということですね

殺虫剤で弱らせ巣を撤去 女王バチや数百匹のハチが潜む

刺されると死亡することもあるスズメバチ。装備を整えた大類さんが巣に近づくと…。

複数のスズメバチが一斉に襲いかかり、大類さんに取り付けた小型カメラに対しても威嚇する様子が確認できる。

大類さんは、殺虫剤でハチを弱らせて巣を撤去。中には女王バチのほか、数百匹のハチと幼虫が潜んでいた。

ハチの巣を取り除いても、駆除作業はまだ続く。

ルイワン蜂・害虫駆除センター 大類幸夫代表:
ほら、戻ってきましたよ。巣の材料やエサを取りに行くので、必ず戻ってくる

戻ってきたハチは、粘着シートで捕獲。捕獲したハチがついたまま巣があった場所に吊り下げると、次々にハチが寄ってくる。

ルイワン蜂・害虫駆除センター 大類幸夫代表:
警報のフェロモンを発するので、これを助けようと思って、仲間がその周りにベタベタつく。そういう習性を活用して、戻ってくるハチ対策です

捕獲したハチがついたまま巣があった場所に吊り下げた粘着シート。次々にハチが寄ってくる
捕獲したハチがついたまま巣があった場所に吊り下げた粘着シート。次々にハチが寄ってくる

住宅街にも…巣を見かけたら「まず自治体に相談を」

スズメバチの脅威は、都市部の住宅街にも及んでいる。

駆除を依頼した男性は、庭の手入れをしていて腕や頭など3カ所をスズメバチに刺され、病院で手当てを受けた。

依頼主:
(病院の)先生からも、1度刺されたら2度目はもう死に至る場合もあると聞いたものだから、それで今回お願いしたところ

男性を襲ったのは、庭の木に巣を作った「コガタスズメバチ」。

庭の木に巣を作った「コガタスズメバチ」。都市部に巣を作ることが多いという。
庭の木に巣を作った「コガタスズメバチ」。都市部に巣を作ることが多いという。

都市部に巣を作ることが多く、キイロスズメバチと同じく人への被害が多く報告されている。

ここでも大類さんは、殺虫剤などを使って巣を撤去。作業が無事に完了し、依頼主もひと安心。

依頼主:
これでゆっくり寝れるかなと。今後、剪定も安心してできるかなと思います

福島県によると、2020年度の1年間に県内で寄せられたスズメバチに関する相談は90件。特に、夏から秋にかけての時期が多いという。

大類さんは、刺されると命に関わることから、巣を見かけても自分では駆除しないよう注意を呼びかける。

ルイワン蜂・害虫駆除センター 大類幸夫代表:
まず市町村の役場に問い合わせて、どうしたらいいか聞いてほしい。地元の専門業者に相談するのもいいと思う。いきなり飛んできて、体にまとわりつくことがあったら、まとわりつくハチが去るまで我慢してください。じっとして。(ハチが)行ったら、体を低くして後ろに下がって、その場を離れる

ルイワン蜂・害虫駆除センター 大類幸夫代表
ルイワン蜂・害虫駆除センター 大類幸夫代表

過ごしやすい気候で屋外での活動が増えるこの季節。スズメバチへの警戒を忘れてはいけない。

(福島テレビ)

福島テレビ
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