本物そっくり! 脳出血を発症し、リハビリ中の父が“片手”で作った彫刻たちがスゴイ

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  • 「半身麻痺の父が作った彫刻を見て」 Twitterに投稿された木彫りの鳥がリアル! 
  • 6年前に脳出血を発症…リハビリの一環で制作
  • 61歳の父「自分自身納得のいく作品とは思っておりません」

「父が作った作品を見て」…投稿が大人気

「半身麻痺なった父がリハビリして片手で作った鳥を見てくれ」

今、鈴(@siratamairipafe)さんがこんな文章と共にTwitterに投稿した彫刻作品が、注目の的となっている。
それが、こちらの鳥たち。

魚をくわえた瞬間のカワセミ 右は本物

投稿されたのは、鈴さんの61歳になるお父さんが作ったという、木彫りの鳥たち。
細かに刻まれた線が羽の流れを感じさせ、魚をくわえたカワセミなど、どれも本物のような仕上がりだ。

右は本物のシマエナガ。丸い目にふわふわの羽をばっちり再現

真っ白な体と真ん丸な目が可愛らしく「雪の妖精」のあだ名でも親しまれているシマエナガは、そのコロンとしたフォルムもばっちり再現。
ふわふわの手触りも感じられるようで、思わず手のひらで包みたくなる愛らしさだ。

鳥ざんまい

これらの作品がずらりと並べられた写真はまるで野鳥園のような賑やかさ。
そのクオリティに、「並々ならぬ努力を感じる…」と感嘆する声や、鳥好きのユーザーから「躍動感がスゴイ!」「リアルでかわいい」とコメントが寄せられ、大人気となっているのだ。

しかし、その技術もさることながら、驚くのはやはりこれらを全て「半身麻痺の影響で、片手で作っている」ということ。
さっそく、鈴さんのお父さんに詳しくお話を聞いてみた。

6年前に脳出血を発症…20時間かけて作品を作る

――なぜ鳥モチーフの彫刻をしようと思った?

数年前に右脳頭蓋内出血を発症し、左手脚末梢部に麻痺が残る状態となりました。削る木材を左手に持って作業をするので指先の機能回復(掴む、握る、離すという動作)に良いのではないかと、退院後以前からの趣味であったフィッシュカービング(魚モチーフの木彫り)を始めました。
以前からバードカービングにも興味を持っており、将来時間があれば挑戦してみようかと思っていましたので、魚類から鳥類に切り替えました。

鈴さんのお父さんは6年前に脳出血を発症し、左の手足に麻痺が残ってしまったという。
以前から釣り具のバルサミノー(疑似餌)を作ったり、魚モチーフの木彫り作品を作ったりしていたが、発症後のリハビリの中で鳥をモチーフにした作品を彫り始めたのだという。

退院後4か月の頃に作ったというフィッシュカービング

作品は、木材を左手や万力を使って固定しながら、利き手である右手一本で彫り進める。
彫刻刀や木工ヤスリ、ルーター、バーニング用電熱器(熱で木材を焦がすツール)などで形を作り、アクリル絵具やラッカー塗料、エアーブラシなどで色を付けていくそうだ。
ふわふわの羽毛の表現は、小さいルーターで木の表面を細かく削ってつけるのだという。

1つの作品にかかるのは、20時間ほど。ネットでモデルとなる鳥の写真を見つけて参考にする他、実際に近所の公園でバードウォッチングをすることもあるそうで、「手をかざすと、シジュウカラ、ゴジュウカラ、ハシブトガラ、ヒガラ等が餌を貰えると思い(野生の小鳥に餌をやることはイケナイことですが)手に乗ってきます。実際の大きさを確認することには最適です」と話してくれた。

今は鑑賞が主だというが、学生時代は美術部に所属し水彩画を描いていたということで、リアルな羽の色合いはこの経験が生きているのかもしれない。

作品を見た人から「私も頑張ります」の声

――Twitterで大きな反響がありましたが…

左手が使えない障害者が左手の代わりに万力という道具を使い作成したもので、自分自身納得のいく作品とは思っておりません。ツイッター(での反響の)数に驚くとともに赤面の至りです。

――作品を作り続けることで、どんな影響があった?

頑張ろうという力を、障害者の方からいただきました。
以前、私がリハビリのために通う福祉センターで小規模ながら障害者の美術作品展示会があり、作品を3点ほど出品しました。作品展示中、私と同じような障害を持った方から「物も満足に握れない貴方の作品と知って驚きました、私も何かやろう、頑張ろうという気持ちが湧きました」と声を掛けていただきました。
それ以来、「私の作品を見てくれる人もいる、機能回復を兼ねて木彫りをしているけど頑張らなければ」と感じるようになりました。

作品に勇気づけられた人がいる一方で、同時に「作品を見ていてくれる人がいる」と、自分自身も元気づけられているという、鈴さんのお父さん。
Twitterでの反響については「作品に納得がいっているわけでは…」と語っていたが、「家族が同じように片手が不自由なので、勇気づけられた」「自分自身がリハビリをしているが、ここまでできるようになるのかと思うと励みになる」などのコメントが寄せられており、作品に背中を押されている人たちの多さが伺えた。

――ちなみに、お気に入りの作品はどれ?

スズメの親子です。餌をねだるひな鳥(親と同じくらいに成長していますが)と餌を与える親鳥をイメージし作成しました。

お父さんお気に入りの雀たち

ちなみに、お父さんの作品を「熱意を持ち制作した作品を公開しないのはもったいない」と感じて投稿したという鈴さんのお気に入りは、シマエナガ。
しかしお父さん曰く「シマエナガは厳寒期に羽毛に空気を蓄えモコモコになっている状態が非常に可愛く“冬の妖精”という感じがするのですが、木彫りでは表現が難しく私の技量ではメタボのシマエナガ状態です」だそうだ。

メタボ?のシマエナガ

お父さんのことを「退院後も積極的に自分で毎日リハビリをして、良くなるようにと考えてやっています。何事にも信念を持ち、ストイックで優しい父」と話す鈴さん。Twitterへの反響について、「驚愕しています。それだけ作品には情熱がこめられていて、見てくださった方々にも伝わっているのだなと感じました」と話してくれた。


そんな情熱と努力がたっぷりつまった鳥たちだが、発表する場については特に考えていないという。
しかし、今後は「できるなら、色々な表情、姿勢の鳥をモデルとして作成したい」ということで、以前作品を出品した美術展などにも「依頼があれば出品したい」と話してくれた。

たくさんの人に元気を分け与えた驚きの彫刻たちに、新しい仲間が加わるのが楽しみだ。

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