本名アウト、政党支部名セーフの不思議

菅原経産相が秘書の香典問題で辞任した。菅官房長官側近である重要閣僚の更迭は安倍政権にとって痛手だ。

政治家は自分の選挙区の有権者に寄付をしてはいけないのだが、本人がお葬式や披露宴に行く場合、社交の範囲でいくらか包むのは認められている。代理はダメ。秘書が個人で行くのは可能。ただややこしいのは政党支部からの支出であればセーフなので、香典袋にどう書いてあるか、秘書が受付の人とどうしゃべったかが、白黒の分かれ目になる。

つまり封筒に「菅原一秀」と書いてあればアウト。「自民党東京都連第9支部」や秘書の名前ならセーフ。また秘書が「菅原の秘書の○○です」と言っていたらアウトかも。アウトなら公選法違反で刑事事件になるので、議員辞職の可能性も出てくる。

額を決めればいいだけの話だ

過去にお盆に名前入りの線香を配った小野寺五典元防衛相は議員辞職したが、名前入りのうちわを夏祭りで配った松島みどり元法相は、大臣は辞めたが、起訴はされず、議員辞職もしなかった。うちわは夏になるとよくタダで配っているので、寄付には当たらないのではないか。だから大臣も辞める必要はなかったと思う。

面白かったのは茂木敏充外相が以前線香を配ったが、これは政党支部の政治活動として行ったのでセーフだった。何か変だなと思ったが野党の追及は甘かった。なぜなら同じようなことを野党の人もしていたからだ。同じ線香を配るのでも「小野寺五典」と書いたらアウトで、「自民党栃木県連第5支部」と書いたらセーフっておかしくないか。

要するに儀礼や社交の範囲内か、それとも買収なのか、で決めるべきではないか。
たとえば披露宴に呼ばれたら3万円、お葬式は5千円、お盆の線香は2千円とか上限と対象を決めて、あとは政党支部もお中元も全部だめ、ということにすればスッキリすると思う。

他にやることないのか

以前ある政治家から夏まつりに行くのが辛いという話を聞いた。最近のお祭りは、昔のようなプロの屋台だけでなく、町内会や婦人会などが屋台を出す。政治家が行くと「他所に寄ったのになぜウチには寄らないのか」「他所よりたくさんウチで買え」と露骨に強要され、お金もかかるし、持って帰るのも大変で、ホント政治家を辞めたくなる、と嘆いていた。

政治家による買収、というのは言い換えると有権者によるオネダリではないか。そこをきっちり法律で決めればオネダリも買収もなくなる。

というかこんなことで毎回大臣辞めろ、議員辞めろ、と騒ぐのはあまり建設的ではない。菅原氏の次は萩生田文科相の「身の丈」発言、さらに河野防衛相の「雨男」発言で野党やメディアから辞任を迫られているが、辞めるほどの失言なのか。他に国会でやることはないのだろうか。そうか!ないからこういうことばっかりやってるんだね。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】
【4コマ漫画:横川寛人】

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