「食料品」に活路 40ブランドのパン集結

日本最大級のデパ地下がオープンした。

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高島屋横浜店は、地下の食品売り場を大幅に拡張し、国内最大級となる5,000平方メートルのデパ地下が誕生。
国内の有名店が一堂に集結したパン売り場には40店舗が並び、提供されるパンは500種類以上。

作りたてのパンを提供するため厨房も設けられたほか、総菜などの品ぞろえも強化する。

利用客:
楽しいですし、便利ですよね。1つのところでいろいろなお店のパンがいただけるので。

食料品に力を注ぐ背景には、コロナ禍で苦境にあえぐ百貨店業界の現状がある。

2020年の全国の百貨店の売上高は、前の年に比べて25.7%減少。
カテゴリー別では、「衣料品」や化粧品などの「雑貨」は30%余りのマイナス、家具や家電などの「家庭用品」はマイナス21%となる中、15.9%と比較的マイナス幅が小さい「食料品」に活路を見いだそうとする動きが広がっている。

高島屋横浜店・青木和宏店長:
家中需要が非常に高まってきている状況にあるので、そういったニーズにしっかりお応えしていきたい。

高齢化で“駅直結“立地に商機

三田友梨佳キャスター:
このニュースについてマーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
高島屋横浜店に取材に行かれたということですが、いかがでしたか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
もともとベーカリーのバイヤーをしていたので、今回のオープンを楽しみにしていました。

危機的な状況の百貨店がとれる最善の策だと思います。
百貨店の顧客ニーズは、デパ地下を中心とするちょっと贅沢な食と、富裕層を中心とする外商を含めた高額商品の販売がメインになっています。

今回、ちょっと贅沢な食を横浜のデパ地下でバイヤーの目利き力と百貨店のブランド力を利用した有名店の集客力で素晴らしい売り場ができたのではないかと思います。

三田キャスター:
パン売り場もその一つだと思いますが、確かにちょっと贅沢な食、デパ地下が充実していると足を運びたくなりますよね。

渡辺広明氏:
デパ地下で左右されるのは立地の良さで、今回“駅直結”立地というのが大事だと思います。

百貨店の全体の売り上げは、インバウンドの影響で数字が良くて見えづらくなっていましたが、コロナの影響で脆さが顕在化してきたという現状があります。

ここ数年、百貨店は売り上げ不振でしたが、一方で、高齢化が進んでいるため車での移動が少なくなり、バスや鉄道のターミナルの商業施設の重要度が今後増してくると考えます。

特に今回は、横浜という日本有数のターミナルに日本で一番大きいデパ地下ができるというのは、非常に相性が良くて、すごく期待できると考えます。

三田キャスター:
逆に言うと、郊外の百貨店はかなり厳しいと言うことになるのでしょうか?

渡辺広明氏:
郊外が厳しいというのはありますが、実は東急や伊勢丹が郊外の住宅の近くのエリアの駅にデパ地下の小型店を出店していたりするので、今後百貨店は売り上げが高い旗艦店と、郊外型のデパ地下の小規模店舗が売り上げのポイントになると考えます。

三田キャスタ-:
百貨店ビジネスは今ネット通販に代替されてしまうことが多い中、どのような体験を提供していくのか、百貨店という場がどう変わっていくのか注視していきたいと思います。

(「Live News α」3月8日放送分)