大島発言で国会紛糾

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枝野さんの代表質問を聞こうと思ったら本会議がいきなり止まっていた。大島衆院議長の国民投票案への与野党合意を促す発言が「信じがたい」と野党が怒っているという。大島さんは法案を通せと言ってるわけではない。それなら野党の言うように「議長のノリを超えている」。

でも彼は「合意すれば?」と言っただけだ。大島さんは自民党保守派からは「野党に優しすぎる」と批判されている人なのに。
こんなことで国会が止まることの方がよっぽど信じがたいよ!イライラ待つこと1時間半、大島さんが謝罪し、ようやく質問が始まった。

同性婚と自衛隊は改憲を

今回の安倍首相の所信表明を聞いていて、最後の憲法の部分がこれまでに比べて力が入っていたのが気になった。参院選でも何度も言及していたし、側近の下村博文選対委員長が「同性婚」を改憲論議の項目に挙げたので、いよいよ本気で改憲に取り組むのかと思い、立憲民主の枝野代表がどう反応するか興味があった。

しかし枝野さんは早口で政権批判のマシンガントークをひたすら続ける。最後にようやく改憲に触れたが、「同性婚を認める民法改正案を提出しているので議論の場は憲法審査会でなく法務委員会だ」と述べただけだった。

同性婚については「憲法は否定していない」という判断が地裁レベルで出ているが、憲法24条に「婚姻は両性の合意にのみ基づく」とはっきり書いてある。これは9条2項の「戦力不保持」も同じで、日本国憲法は表現が曖昧で、従ってこれまで改正の必要はなかったが、この2つだけは変えないとまずいのではないか。

しかし、味方と言ってもいい大島さんの発言には素早く反応したのに、「同性婚」の改憲の誘いには全く乗らない。おそらく枝野さんは憲法改正に関しては全くの「ゼロ回答」である。今回会派を組む国民民主など他の野党も追随せざるをえないのではないか。

確かに立憲などの野党は数の力では分が悪く、下手すると憲法9条を改正されてしまう恐れがあるので何としても阻止しようとするだろう。

多数決の否定は民主主義ではない

だから自民はいくら野党に気を使っても時間の無駄ではないか。安倍さんの任期はあと2年もある、ではなく2年しかないのだ。もし本当に憲法を改正したいなら国民投票法案にしても、憲法改正案の発議にしても、話し合いの努力をした上で、それでも憲法審査会に出てこない人たちがいるなら、そんな人たちはほっといて採決をしなければいけない。多数決で決めないのは民主主義ではないのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】
【4コマ漫画:横川寛人】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。