隙間時間を賢く使ってキャリアアップ。コロナで増えた転職希望者に向けた新たな試みが始まった。
ハイヤーで移動しながら転職の面談
男性を迎えに来た1台のハイヤー。ずいぶんと優雅な出勤かと思いきや、実は、個人がハイヤーで通勤しながら、企業と気軽にオンライン面談ができるサービスだった。
転職サービスを提供するパーソルキャリアが、次世代移動サービスを展開するモネ・テクノロジーズと組んで開始した実証プロジェクトだ。

パーソルキャリア・柘植悠太執行役員:
転職者数でいうと落ち込んでいるが、転職したい個人は増加傾向にあって、新しい時間で自分のキャリアを考える時間になれば、非常に価値ある時間、面白いサービスになるのではないか。

今回このサービスを体験したのは、物流会社で働く鈴木政隆さん(33)。
鈴木政隆さん:
コロナ禍で自分を見つめ直す機会が増えたので、その中で自分のキャリアや、今後どうしていくかをちょうど考えていたタイミングだったので、通勤の時間で自分のキャリアを考えられるのはすごく斬新。

入社して10年。転職に興味を持ち始め、実証プロジェクトに参加した。
早速、鈴木さんをスカウトした企業とのオンライン面談が始まった。企業側が簡単に事業内容を説明し、その後は自由に質問をし合う。

鈴木さん:
求める人材像というとちょっと堅いですが、どんな人にきてもらいたいですか。
企業担当者:
やはり元気があって、好奇心がある方ですかね。
企業の担当者:
興味のあるテクノロジー領域は?
鈴木さん:
データの担保、個人情報といったセキュアな部分・領域に興味があります。

時には、こんなやりとりも。
企業担当者:
趣味など、一番ハマっているものは?
鈴木さん:
いま、コーヒーにすごくハマってまして。
企業担当者:
へー。僕も朝…(コーヒー豆をひくジェスチャー)
鈴木さん:
やってます?(笑)

終始、和やかなムードで20分の面談が終了した。
鈴木さん:
プライベートな空間でリラックスして対話ができるので、(企業に)行かなくてもいいし、変に気を張る必要もないし、そこがこのサービスの魅力ではないか。

自動運転時代を見据えたパーソナル空間
利用者がハイヤーの中で、隙間時間を有効に活用できるこのサービス。実は、自動運転時代を見据えているという。
MONET Technologies事業企画部・手島康伸担当部長:
今回、パーソナル空間を1つのテーマにしています。
適切な環境がつくり出せているかが非常にポイントだと思っていて、今後の自動運転時代の可能性という意味でも、われわれとして、今回、期待値をもって取り組んでいる。

車というパーソナル空間で、時間を有効に使いながら利用者がキャリアの可能性を広げることができるか。2021年春まで検証するという。

コロナ時代の採用・転職
三田友梨佳キャスター:
社員全員がリモートワークで働く会社、キャスター取締役COOの石倉秀明さんに聞きます。
石倉さんの会社でも採用活動の支援をされているということですが、こうした新たな転職サービスをどうご覧になりますか?
(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
我々もベンチャーさんを中心に数百社ぐらい採用活動を支援していますが、コロナ禍で大きく変わったのはやはり選考の仕方です。
具体的には最終面接以外はほぼオンラインに切り替わっている会社が多いなという印象です。

三田キャスター:
オンラインで面接をするメリットはどんなところにありますか?
石倉秀明氏:
転職活動をする個人としては、忙しい本業の合間に今までは何とか時間を捻出して面接を受けに行くということをしていたと思いますが、オンラインですと、時間の調整は非常にしやすいので、たくさんの会社と気軽に話すことができるようになることがメリットだと思います。
企業から見ても、たくさんの候補者と話すことがやりやすくなったと思います。
三田キャスター:
一方、デメリットは?
石倉秀明氏:
企業から見ると、候補者の方はたくさんの企業と話している状態になるので、しっかりと面接で自社の魅力付けができないと次になかなか繋がらないという話はよく聞くようになりました。
一方、個人もたくさんの会社と話せるが故に自分にとってどういう選択が正しいのか迷っている人が増えている印象があります。
なので、優良なキャリア相談だったりキャリアカウンセリングを受けられるサービスに申し込む人も増えている印象があります。
こういったサービスは求人を紹介することはあまりないので、あくまでも第三者として、今は転職をやめた方が良いのではないかとか、フラットに提案が来たりもします。
信頼できる第三者と相談しながら転職活動を併走していくやり方が、これから増えてくるかもしれません。
三田キャスター:
オンライン面接はコロナ時代の新常識となりつつありますが、この試みが新たな転職の形として定着するか注視していきたいと思います。
(「Live News α」12月22日放送分)