モンゴルで起きた草原火災に新たな展開です。
希少な生物などが暮らすエリアで東京都の2.4倍ほどの面積が焼失し、日系企業のトップが謝罪する事態となった大規模火災。
その責任や補償を巡り厳しい目が向けられる中、疑問の声を上げたのがモンゴル出身の元横綱・朝青龍です。
モンゴルではこの問題がどのように受け止められているのか、現地を緊急取材しました。
一面焼け焦げた草原の奥で赤く照らされた空。
これはモンゴル当局が公開した草原火災の映像。
辺り一帯に炎が広がり、至る所で黒煙が上がりました。
10月8日、中国との国境に近いモンゴル東部ヌムルグ自然保護区で発生した大規模草原火災。
火は1週間以上にわたって猛威を振るい、隣接する中国・内モンゴル自治区にまで迫りました。
東京都の2.4倍ほどの面積、約53万haが焼失し、ヌムルグ自然保護区の約8割が被害を受けました。
出火の原因とされる車には、日本の大手通信企業KDDIの子会社「モビコム」の社員らが乗っていて、現地でCEOが謝罪する事態となりました。
希少な野生動物などが生息し、生態系保護のため中核エリアは立ち入りが厳しく制限されている場所で起きた今回の火災。
日系企業に対し厳しい声が上がる中、突如、SNSで発信を始めたのが元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジさんです。
元横綱・朝青龍 ドルゴルスレン・ダグワドルジさん(SNS投稿):
一方的な日本人が悪いじゃなくて現地で連れて行ったモンゴル国会議員たちは言わないの?(原文ママ)
2003年にモンゴル出身者力士として初めて横綱となった朝青龍。
引退後の2017年には、モンゴル大統領府の日本担当外交顧問に指名され、現在は実業家として活動しています。
投稿の真意は何なのでしょうか。
モビコム・越智康博CEO:
自然環境に被害が生じたこと、深く深くおわびするとともに、モンゴル国民の皆さまに改めておわび申し上げたいという気持ちでございます。
今回の事態を受け、企業のトップが謝罪したモビコム。
火災から2週間が経過した23日、“事実確認を整理し公表できる状況になった”として、親会社のKDDIは当時の状況を説明しました。
それによりますと、越智CEOを含むモビコムの社員7人は、10月6日から8日にかけて、これまで進めてきた4Gネットワークの品質確認や開通式典などのため国境港湾局の要請に基づきヌムルグ自然保護区を訪問。
その際、社員が乗った車は国境港湾局の車両による先導や後方支援を受けながら、安全に留意し低速で走行していたといいます。
その際、車についた枯れ草から出火することを防ぐため、20~30分おきに停車し、枯れ草を取り除きながら移動していたといいます。
ところが8日の移動中、枯れ草を取り除くため停車したところ、モビコムの社員が乗る車から煙が上がっているのを確認。
同行していた当局の指示に基づき消火活動を行いましたが、延焼を食い止めることができなかったということです。
モンゴルの草原はこの時期、非常に乾燥し草が枯れていて、一面、茶色い光景が広がっています。
今回の大規模火災をモンゴルの人たちはどう受け止めているのか、FNNは現地を緊急取材しました。
火災現場から離れた首都ウランバートルで市民に話を聞くと、「外国人を連れて行ったなら何を注意するかとか、リスクをしっかり注意すべきでした。連れて行った国境警備のせいだと思います」「動物や植物が失われたと聞いてすごく残念です。調査の結果を聞かないと、誰に責任があるかまだ判断できません」などの声が聞かれました。
火災の詳しい原因について、現在も関係当局による調査が続いています。
モビコム・越智康博CEO:
ヌムルグ自然保護区で発生した火災によって、自然環境に影響が出て被害が出たということに関して、深くおわび申し上げます。
出火の原因とされる日系企業のトップが謝罪し、責任や補償で厳しい目が向けられる中、SNSで発信を始めたのが元横綱・朝青龍です。
草原火災が日本国内でも報じられるようになると、10月23日には短い間に少なくとも3回、「日本のマスコミ報道モンゴルにいらっしゃい」「ヌムルグの問題はこうして3カ国の問題になりました」「報道の圧力って…どんな国にあるんだね。おかしい」と火災に関するものとみられるコメントを投稿。
中には、「一方的な日本人が悪いじゃなくて、現地で連れて行ったモンゴル国会議員たちは言わないの?」と、モンゴルの国会議員にも批判の矛先を向けるかのような投稿もありました。
何を意図したものなのでしょうか。
現地当局によりますと、6日の開通式にモンゴルの国会議員が出席したことが分かっていますが、火災当時は市街地へ戻っていたといいます。
一方、現地メディアは、この国会議員とは別に元国会議員の弟が同乗していたと報じていますが、いずれも草原火災との関わりは分かっていません。
草原火災のあとモンゴルの複数のメディアは、モビコムの一行が絶滅危惧種に指定されている幻の巨大魚「アムールイトウ」を釣る計画だった可能性を伝えましたが、親会社のKDDIはその後、「当社はモビコムの社員がその他法令違反行為を行っていないことを確認しています」と明言しました。
一方、火災直前まで保護区内で取材を行っていた記者からは、生態系への影響を心配する声が聞かれました。
スレン・デルケル記者:
専門家は保護区に生息した動物は今後100年は戻ってこないと指摘しています。たとえ植物や樹木は生えても、270種の貴重な植物は回復不可能と言われている。
時に日本語で、時に英語やモンゴル語で、さまざまな発信をしてきた元横綱・朝青龍。
草原火災に関する投稿が増えていた26日、日本語で「近い内に内閣総理大臣官邸に足運ぼうと考えております(原文まま)」と投稿しました。
榎並大二郎キャスター:
日本の外務省は今回、JICAの森林自然環境保護の専門家を派遣して、モンゴル政府と連携を取りながら必要な機材を共有したり、現地の人材育成に取り組むなどして被害地域の復興に協力をしていく考えです。
そして、気になる元横綱・朝青龍がXで言及していた日本の総理官邸訪問の可能性についてですが、総理周辺は「全く聞いていない」と驚いた様子だったといいます。
遠藤玲子キャスター:
まずは日本とモンゴルが連携して被害の全容を早急に把握してほしいですね。
榎並大二郎キャスター:
現在はモンゴル当局が調査をしているという状況です。
