北海道内で、若者が加害者になったり被害者になったりする深刻な暴力事件が相次いでいます。公園で面識のない男女に因縁をつけて金品を奪う事件、女子高校生に暴行を加えて土下座を強要する事件、そして中学生が同年代の少年をアイスピックで刺したとされる殺人未遂事件。いずれも被害者の身体だけでなく、心にも大きな不安を残しかねない出来事です。
事件の発生場所や動機はそれぞれ異なり、現時点で相互の関連性は確認されていません。
しかし、若い世代が暴力によって他人を支配し、深刻な被害を生じさせている現実は、社会全体で考えるべき問題です。なぜトラブルが暴力へと発展するのか、そして、被害を防ぐために何ができるのでしょうか。
■公園で男女襲い金品奪う、15~17歳の少年4人を逮捕
札幌市中央区の中島公園では9月29日未明、20代の男女に因縁をつけ、男性の顔を複数回殴ってけがをさせたうえ、現金十数万円などを奪ったとして、15歳から17歳までの少年4人が強盗致傷の疑いで逮捕されました。
男性は顔を打撲するなど、全治約3週間のけがを負いました。少年らは知人同士で、事件後に現場から逃走しましたが、防犯カメラの映像などをもとに捜査が進められ、逮捕に至りました。
警察は4人の認否を明らかにしていませんが、引き続き動機などを調べています。
若者が集団で強盗致傷という重大事件を起こした経緯の解明がまたれます。
■女子高校生に暴行、スマホで撮影、口止めまで 20歳女を逮捕
厚岸町では9月24日夜、15歳の女子高校生の顔を平手打ちする暴行を加え、土下座させるなどしたとして、釧路市に住む20歳の無職の女が10月20日に強要容疑で逮捕されました。
現場には女の知人らも居合わせ、被害者が暴行を受けて土下座する様子をスマートフォンで撮影していたということです。さらに女は、土下座のことを他人に話せば、次はもっとひどいことをすると脅し、口外しないよう約束させた疑いが持たれています。
女は暴行について認める一方、口外しないよう約束させたことについては否認しています。警察は、SNSをきっかけとするトラブルの可能性も含め、詳しい動機や周囲にいた人物の関与を調べています。
この事件で注目すべきなのは、暴行だけでなく、撮影や脅迫によって被害者を沈黙させようとした疑いがある点です。スマートフォンやSNSは人とつながる便利な手段である一方、使い方によっては、被害者を威圧したりする手段にもなり得ます。
■アイスピックで突き刺す…14歳少年を殺人未遂容疑で逮捕
10月20日夕方には、札幌市東区の路上で、14歳の男子中学生が江別市の13歳の男子中学生の胸をアイスピックで刺し、殺害しようとした疑いで逮捕されました。被害者は病院に搬送されましたが、意識はあったということです。
逮捕された少年は、警察の調べに対し「殺すつもりで刺した」と話し、容疑を認めています。
アイスピックで胸を刺すという一歩間違えば死に至る重大な危険行為を中学生が起こした今回の事件。
当時、現場には双方の友人を含む複数人が集まっていたとされ、警察は事件に至った経緯を慎重に調べています。
■北海道で相次ぎ若者の暴力事件…加害行為を防ぐには
北海道ではこれまでも、若者が関与する重大事件が起きています。
旭川市の女子高校生殺人事件では、SNS上のトラブルをきっかけに、暴行や土下座の強要があり、被害者の姿を撮影する行為も確認されました。
江別市の男子大学生集団暴行事件では、激しい暴行が続く中、誰も制止せず、現金を奪ってその金で飲食をするなど、加害行為に複数の若者が関与した実態が明らかになりました。
今回新たに起きた3つの事件には、若者同士のトラブルが重大な暴力に発展したことや、複数人が関与する中で被害が深刻化したことなど、共通点がうかがえます。金品の強奪や、土下座の強要、撮影、口止めのための脅迫など、犯行をエスカレートさせたものは何だったのでしょうか。
直接暴力に加わった者だけでなく、現場にいたほかの人物がどのように関与し、なぜ制止できなかったのかも検証すべき課題です。
若者の更生を支援する一方で、加害行為の責任を明確にし、被害者の安全を確保することが大事です。学校や家庭、地域社会がトラブルの兆候を把握し、深刻な暴力に発展する前に対応できる体制づくりが求められています。
