熊本地震から2カ月余り。八代市鏡町で妻を亡くした80歳の男性が、息子や孫がいる関東に移り住むことを決断しました。葛藤を抱えながらも妻との思い出を胸に前に進もうとするその姿を取材しました。
【尾村 不二夫さん】
「お互いに支え合ったからこういうことができたんだろうなぁ。1人ではできないだろうなぁ」
7月の熊本地震で震度6強を観測した八代市鏡町で自宅が被災した尾村 不二夫さん(80)です。
妻・トヨ子さんは地震直後、自宅近くの用水路で溺れ命を落としました。
あの日から2カ月余り。不二夫さんの自宅は緊急解体によって更地に。
ただ、そのまわりの道路には、数百メートルにわたって、妻と一緒に育てていた色とりどりの花が咲いていました。
【尾村 不二夫さん】
「〈きれいで和やかな環境でみんなが生活できればいい〉という思いを2人の共通ベースにしていた」(きっと天国から…)「喜んでくれていれば、ありがたい」
不二夫さんは毎日、身を寄せる姉の家から自宅があった場所を訪れています。
その理由の一つは、隣の家の人が面倒を見てくれている飼いネコたちに会うため。
この日も、ひなたぼっこをしながら愛らしい表情を見せてくれました。
9月、一つ年を重ね80歳になった不二夫さん。
周囲の勧めもあり、息子や孫が住む神奈川県横浜市に移り住むことを決断しました。
思い出が詰まった古里を離れることには葛藤や寂しさもありますが、夫婦で育てた花から勇気をもらっています。
【尾村 不二夫さん】
「花はどこに行っても語ることが前向き。『そんなことしたらダメ』とは言わない。
自分で生きがいを探す。一生懸命、回遊して、〈こういう遊びが、こういう学びがあるんだ〉とか、ある程度、勉強したい」
「妻がいてくれたから今の自分がある」とトヨ子さんへの感謝を繰り返し口にする不二夫さん。〈妻を失った悲しみ〉と向き合いながら、一歩、前に踏み出そうとしています。
