言葉によるコミュニケーションに困難を抱えながらも大好きな空手に打ち込む小学5年生。その姿と、成長を支える人たちを取材しました。
登米市に住む小学5年生の加藤大雅くん、11歳。週4回、道場に通って、大好きな空手に打ち込んでいます。
大雅くんは、今から2年前、「知的障がい」と「自閉スペクトラム症」と診断されました。
人との会話や、相手の言葉を理解することに難しさがあり、周囲からはその特性がわかりにくいこともあるといいます。
大雅くんの母・香奈さん
「お友達の会話になかなかついていくのが難しいが、たまに私が通訳で入って、こういうこと聞いているよと橋渡しをするので、なんとなく話が通じてきて」
言葉でコミュニケーションをとることが難しいこともある大雅くん。学校でも、友だち付き合いが上手くいかず、孤立してしまう日も多かったといいます。
そんな大雅くんが自ら「やりたい」と口にしたのが、空手でした。
大雅くんの母・香奈さん
「学校から持ち帰った地元の道場のチラシがきっかけにはなりました。連絡帳袋からすぐ出して、これをやりたいんだというふうに、渡されたんですね」
成長がゆっくりだったことから、母・香奈さんに不安もありましたが、大雅くんの思いを受け止め、空手を始めることを応援しました。
体調のよい日に片道1時間弱の道場へ通い、自宅では父親と練習。繰り返し稽古を重ねる中で、少しずつ技を身につけていきました。
加藤大雅くん
Q空手の何が好き?
「形です」
母・香奈さん「形の何が好き?」
「燕飛(えんぴ)です」
母・香奈さん「燕飛のどこが好き?」
「スピードとかジャンプの威力が格好いいです」
空手を始めたことで、大きく変わったことがあります。
大雅くんの母・香奈さん
「子供らしい表情を見せてくれているのかな、逆に空手をやっている最中ではあるので。日中の姿よりもとても楽しそうに過ごしていると思います」
大雅くんが通う空手道場の先生も、道場での様子を、こう話します。
紘武会代表 小野寺兼士先生
「空手が本当に好きなんだなって思います。言われたことを短期間で直してくる、集中力がものすごいですね」
大雅くんにとって大きな存在となったのが、ともに空手に打ち込む仲間たちでした。
今通っている道場には、耳に障がいのある子もいます。
同じ道場に通う高橋仁哉君(耳に障がい)
「(大雅くんは)すごく形が完璧すぎて上手」
同じ道場に通う長倉遥歩君
「(道場には)個性の強い人がいっぱいいるが、それに適応してチームになじんでて、空手もうまいので、すごいなって思っています」
言葉でのやりとりに難しさがあっても、空手を通してつながっていく仲間たち。
大雅くんにとって道場は、大好きな空手に打ち込みながら、仲間と笑い合い、自分らしく過ごせる場所になっていました。
空手を始めて一番うれしかったことを聞くと…
加藤大雅くん
「仲間が増えた感じがします」
紘武会代表 小野寺兼士先生
「最初はすごい人見知りで、なかなか友達とお話できなかったりとかしたが、今は大雅自身がしっかり空手をやっているということと、みんなが、「大雅、大雅」と言って認めて、いっぱいお話もするし、いますごいニコニコ楽しそうにやっていますね」
仲間と共に積み重ねた練習は、実力を大きく伸ばしていました。
今年8月、大雅くんは、東京で開かれた全日本パラ空手道競技大会に出場しました。
知的障がいのクラスに県内から出場するのは、大雅くんが初めてです。
挑戦したのは、「形」と「組手」で、大雅くんは知的障がいの10歳から12歳のクラスで2種目とも1位!全国大会初出場でみごと2冠を達成しました。
大雅くんと同じ道場で練習を重ねてきた仁哉くんも銀メダルを獲得。
2人の笑顔がはじけます。
大雅くんの母・香奈さん(45)
「言葉のコミュニケーションだけではなく、いろんな方々の優しさであったりとかサポートがあってここまで来れたので、(空手を)始めたことは本当によかったなと思っています」
空手を始めて3年。かけがえのない仲間や周囲の人たちに支えられ、一歩一歩歩んできた大雅くんの道は、これからも、続いていきます。
加藤大雅くん
Q将来の夢は?
「(空手の)世界チャンピオンになりたいです」
