佐賀市大和町にある小さな神社。地元の住民が守り続け来年、創建400年を迎えます。その節目を彩り、今後も愛される神社にしようと、本堂の天井に地域ゆかりの絵が描かれました。
スギの板に描かれているのは大和町の川上峡の鯉のぼり。
他にも神様やヒガンバナなどの絵が描かれた板が何枚も。
これらはなんと、神社の天井一面を彩る天井絵です。
【似顔絵師 西村祐信さん】
「本当にたまたま大和町に住んでて10分くらいで着くような神社なのでなんか不思議なご縁を感じた」
【松森稲荷神社400年大祭実行委員 山口博之さん】
「絵心っていうのはないんですけど立派な絵になるんじゃないかなと想像している」
佐賀市大和町東山田上戸田地区、中極とも呼ばれるこの地域の通り沿いにある小さな神社がこの松森稲荷神社です。
【松森稲荷神社400年大祭実行委員 山口博之さん】
「皆さん、何かの時にはやっぱり神頼みって言うんですかね。だから正月は必ず来られますよ、皆さん、お参りにですね」
かつては店や宿屋が立ち並び、商人の町としてにぎわっていたこともありこの神社では五穀豊穣・商売繁盛の神とされる宇迦之御魂神を祀っていて、来年で創建から400年を迎えます。
その歴史を物語るように本堂のあちこちには傷みも見られます。
来年の10月に予定されている創建400年記念の祭りに向けて特に傷みがひどい天井板は全面張り替えが決まっています。
その新しい天井には神社と地域により一層愛着を持ってもらおうと地域にまつわるものをモチーフに天井絵が描かれることになりました。
制作費には地域の住民で積み立てた自治会費があてられています。
天井絵を担当するのは、佐賀市の似顔絵師、西村祐信さん。
土日や祝日に市内のショッピングモールで似顔絵を描いています。
【似顔絵師 西村祐信さん】
「本当に地域貢献みたいな感じでやろうと。僕はやったことないこと、新しいことへの挑戦にもなるし」
普段描かないモチーフに、普段は使わない画材。
慣れないことが多く、苦労も多いと話します。
【似顔絵師 西村祐信さん】
「板で、1枚1枚が大きいので思ったよりもより時間がかかるなというところでなかなかスケジュール管理が難しい」
天井板は一枚あたり1辺約40センチの正方形で、枚数は縦が8枚、横は14枚の合わせて112枚。
普段描いている色紙サイズの似顔絵は1時間ほどで仕上げると言いますが、こちらは1枚あたり大体半日がかりの作業。
イラストレーター仲間の力も借りて制作にあたります。
【イラストレーター にしみほ子さん】
「木の板に描くっていうのはなかなか経験が無いのでいい経験をさせていただいてます」
普段は可愛らしい雰囲気の挿絵やロゴイラストなどを手掛ける佐賀市のイラストレーター、にしみほ子さん。
コマの絵など、20枚ほどを担当しています。
【イラストレーター にしみほ子さん】
「神社がどこにあるんだろうって後から聞いたときにすごく近所というか近くだったのでちょっとご縁を感じて。歴史に残るじゃないですけど、子どもに自慢できるなと思って、すごくうれしい」
去年の5月ごろから下絵を描き始め、すべて描きあがったのは今年の5月。
1年がかりの作業になりました。
並行して天井板の張り替えが始まり、6月の頭には絵の取り付けが行われました。
数枚にまたがって描かれた大きな絵もあり、絵の順番や向きを確認しながら一枚一枚取り付けられていきました。
そして9月6日、ついに地域の住民へのお披露目会が開かれました。
縦約4メートル、横約6.5メートルにわたる神社の天井には大小合わせて61ものモチーフが、所狭しと並びます。
【松森稲荷神社400年大祭実行委員 山口博之さん】
「これがウカノミタマという稲荷神社の神様」
約15人集まった地域の人々は天井を見上げながら山口さんの解説に耳を傾けます。
【松森稲荷神社400年大祭実行委員 山口博之さん】
「ここは宿場町だったからそういう意味合いでダルマさんがいたり招き猫がいたりするわけです」
その他にもこの地域で見られる鳥や草花、かつてこの地域で開かれていた夜市に、今も続く恒例行事やイベント。
モチーフはどれもこの地域に縁があるものでみんなでアイデアを出しあって決められたものです。
【地元の子どもたち】
「なんかすごく細かく描いてあってすごいなって思いました。鯉のぼりの絵とか、いろいろな鯉のぼりが描いてあってすごいなって」
「キツネの絵(がすき)キツネっぽさもあるけど、石像感もあるから」
【似顔絵師 西村祐信さん】
「子どものころに子どもたちが見て、それが大人になってからふらっとまた寄ったときにああ、子どもの時に見た絵がまだあるな、みたいなそういうなんか懐かしい気持ちとか愛着みたいなのが芽生えてくれたらそれはすごいうれしい」
来年10月の400年大祭まで約1年。
祭りの中心ともなるこの神社がこれからも愛される場所であればと話します。
【松森稲荷神社400年大祭実行委員 山口博之さん】
「憩いの場所と言ったらオーバーですけども(地域の人々が)近づきやすいようなお宮にしたいと思います」
神社は普段、防犯などの理由で施錠されています。
もし絵を見たい場合は、事前に連絡をすれば鍵を開けてもらえるということです。
