AIで音声再現?検証
AIによる声の権利侵害の恐れは、声優だけではない。
今回、競馬実況などでおなじみの元フジテレビ・青嶋達也アナウンサーの協力を得て、AI音声技術が青嶋アナの声や表現力をどこまで再現できるのか検証した。

学習の材料は、真骨頂とも言える競馬実況。
青嶋達也アナウンサー:
どのレベルまで真似をされるのか。これを通じて、ある程度の目安みたいなものが出てくれば、そこまで不安に思うことはないですよっていう答えになるかもしれないですし。

そしてこの音声データを、AI会社を経営する・柚木勇魚さんに依頼した。

1週間後、取材班は「AI青嶋アナ」の音声を青嶋アナ本人とともに聞きに行った。
青嶋アナ本人のテンションの高い競馬実況はこちら。
青嶋達也アナウンサー:
ウオッカ先頭、ディープスカイ、ダイワスカーレット、ダイワスカーレットが差し返す!
その後、AIの音声を聞いてみた。
「ダイワスカーレット頑張る、ダイワスカーレット粘る!」
青嶋達也アナウンサー:
(AIの音声が)かなり私に寄ってますね。私っぽかった。
試しに途中で本物からAIに切り替えてみたが、違和感はほとんどない。

青嶋達也アナウンサー:
予備知識がなかったら、聞き流してしまうレベルでした。
「使い方次第でだませてしまう」
青嶋流の実況の特徴を会得したAI。
そこで、女性記者の声を変換させてみると…。
記者:
おはようございます。
青嶋アナAI:
おはようございます!

次に、競馬の素人の女性記者がマイクに向かって実況を読んでみると…。
青嶋アナAI:
ウオッカ来た、ウォッカ勝ったー!あんな苦しいところから。ウォッカ勝ちましたー!
女性記者があえて棒読みした実況を、AIが青嶋アナ流の感情豊かな実況に変換した。
青嶋達也アナウンサー:
ここまで自分に似るんだな。使い道次第では、ごまかせてしまう、だませてしまう要素もある技術なんだなと感じた。

生成を手がけた柚木勇魚さん:
なにも気にせずにやれば誰でも出来てしまう。権利の確認などを省けば、誰でも出来てしまうということが正直なところ。
「声」を守る 現状と課題
声の権利を守って行くにはどうしたらよいのか。
法務省は8月、生成AIによる肖像や声の無断利用について、パブリシティ権、つまり経済的価値の権利などが侵害される場合の考え方を初めて公表した。
声の権利は保護の対象であることを初めて明記し、侵害の具体例として、声優の声で曲を作ってSNS上で収益を得た場合や広告のナレーションに利用した場合などを挙げ、損害賠償を請求できるとした。

ただ、AIによる学習・生成・公開そのものの規制までは明示していない。
この指針について声優の島田敏さんは「大きな一歩ではありますけれども、もう一つその先にきっちり法整備がされた方がいいのではないかと思っております。スピード感ですよね」と強調した。
一方で、権利に配慮してAIを利用している例もある。
アニメ「まんが日本昔ばなし」の語り手を務めた、俳優の市原悦子さんらの語りをAIで再現し、多言語で作品を紹介。遺族などの同意を得た上で音声化し、文化や作品を未来へ残そうという取り組みだ。
AIのメリットを生かしつつ、声の権利をどう守っていくのか、早急な法整備が求められている。
(「イット!」9月30日放送より)

