プレスリリース配信元:株式会社 日経BP
朝食は米食拡大の有力な機会、世代に応じた価値提案と情報発信が鍵に
■本事業について
株式会社 日経BP(本社:東京都港区、社長CEO:井口哲也)の調査・研究・コンサルティング部門である日経BP 総合研究所は、農林水産省 令和8年度「米需要創造価値推進事業」(※)の補助金交付を受け、米食に関する生活者意識調査、有識者検討会の開催、および調査結果・提言の取りまとめを行いました。本プレスリリースでは、同事業で得られた調査結果と提言の概要を公表します。
日本人の年間1人当たりの米消費量は、昭和40年代の約116~120kgから、2024年には約53.4kgまで減少しています。こうした状況を踏まえ、株式会社日経BP 総合研究所は、2026年6月に全国の生活者2,000人を対象とした米食に関する意識調査を実施するとともに、有識者検討会を開催しました。
その結果、朝食は米食需要拡大の有力な機会であること、また、世代によって健康への関心や情報接点が異なることが分かり、ターゲットに応じた価値提案や情報発信の重要性が示されました。
1.調査概要

2.主な調査結果
(1)米は今も主食の"基盤"、しかし喫食量は頭打ち
約7割が「最も多く食べる主食」としてご飯(米)を選ぶなど、米は現在も日本人の主食として定着しています。一方、3年前と比べた喫食量は「変わらない」が最も多く、米食需要の拡大には新たなアプローチが求められます。

● 3年前と比べたご飯(米)の喫食量の変化

【ポイント】
・約7割(69.8%)が「最も多く食べる主食」としてご飯を選び、6割超(61.0%)が「最もコストパフォーマンスが良い主食」としてご飯を挙げるなど、米は依然として日本人の主食として定着している。
・3年前と比べた喫食量は「変わらない」(64.0%)が最も多かったものの、「減った・やや減った」(24.3%)は「増えた・やや増えた」(11.8%)の倍となった。
・米は主食としての地位を維持している一方、喫食量の拡大にはつながっていない。
(2)朝食では「ご飯(米)を食べない」「朝食を欠食」が目立つ
朝食では、「毎回ご飯(米)を食べる」人が26.1%にとどまる一方、「主食としてご飯を食べない」人が20.7%、「朝食を食べない」人も12.9%に上りました。朝食は3食の中で米を食べる機会が最も少なく、米食需要を拡大する余地が最も大きい食事機会と考えられます。
●食事機会ごとの米の喫食状況

【ポイント】
・「毎回ご飯(米)を食べる」人は、朝食26.1%、昼食28.2%に対し、夕食は47.0%と高い。
・「ご飯(米)を食べない(パン・麺類などを食べる)」人の割合は朝食20.7%と最も高く、夕食(3.3%)の約6倍となった。
・「朝食を欠食する」人も12.9%と他の食事に比べて高く、朝食では3人に1人(33.6%)がご飯(米)を食べない、または欠食している。
(3)米の栄養価値は十分に認知されていない
主食の選択では、「美味しさ・好み」や「価格・コストパフォーマンス」が重視される一方、「タンパク質量」など栄養成分を重視する人は少数でした。また、米にタンパク質が含まれることを「知らなかった」「特に意識したことがなかった」と回答した人は75.0%に上り、米の栄養価値は十分に認知されていないことが分かりました。

【ポイント】
・主食の選択では「美味しさ・好み」(39.4%)、「価格・コストパフォーマンス」(37.2%)、「時短・手軽さ」(13.1%)が上位となった。
・「タンパク質量」(10.9%)や「糖質・炭水化物量」(7.7%)など、栄養成分を重視する割合は相対的に低かった。
・茶碗1杯(150g)のご飯に約3.5~4g(納豆約半パック分)のタンパク質が含まれることを「知らなかった」(34.9%)または「特に意識したことがなかった」(40.1%)と回答した人は、合計75.0%に上った。
(4)世代によって健康状態への関心や情報接点は異なる
20代以下、30~40 代、50~60代では、健康への関心や米との関わり方、情報接点に違いがみられました。世代ごとの特性に応じた価値提案や情報発信の重要性が示唆されました。

・
【ポイント】
・健康状態への関心は年代が上がるほど高くなる傾向がみられた。
・「最も多く食べる主食」として米を選ぶ割合は、20代以下に比べ30~40代および50~60代で高かった。
・情報媒体は、20代以下ではYouTubeやSNS、30~40代ではYouTubeに加えてレシピサイト・アプリ、50~60代ではテレビやレシピサイト・アプリの利用が相対的に多かった。
■調査結果のまとめ
今回の調査では、米は依然として日本人の主食として定着している一方、喫食量は伸び悩んでいることが明らかになりました。また、朝食には米食需要拡大の余地があること、さらに世代によって健康への関心や情報接点が異なることが明らかとなり、ターゲットに応じた価値提案やコミュニケーションの重要性が示されました。
3.有識者検討会
本調査の結果を踏まえ、2026年7月に有識者検討会を開催しました。栄養学、医学、運動生理学、農学など多様な分野の専門家が参加し、米食需要拡大に向けた課題や方向性について議論を行い、4つの提言を取りまとめました。
〈委員一覧〉 順不同、敬称略

〈主な討議テーマ〉
- 健康、時短、体づくりなど、生活者に響く米食の価値をどう訴求するか。
- 朝食を米食需要拡大の機会とするため、どのような米食スタイルや導線が有効か。
- 米をあまり食べない層に対し、「説得」ではなく「自然に選ばれる仕組み」をどうつくるか。
- 世代ごとに異なる価値観や情報接点を踏まえ、どのようなコミュニケーションを展開するか。
4.有識者検討会からの4つの提言
提言1 米の健康価値を再定義する
過度な糖質制限などを背景に広がった「お米=太る」というイメージを見直し、植物性タンパク質やご飯に含まれる水分、腸内環境への働きなど、米が持つ多面的な健康価値を科学的エビデンスに基づいて発信する。
提言2 「朝食の空白」を新たな需要創造の機会とする
朝食は米食需要拡大の有力な機会である。「しっかり食べる」ことだけを求めるのではなく、おにぎりやお茶漬けなど、少量でも手軽に取り入れられるメニューや、炊飯の手間がいらない「パックごはん」の活用等を提案する。中食・外食や企業による朝食提供などとも連携し、生活者が家庭や外出先で無理なく米を選べる環境づくりを進める。
提言3 「説得」から、世代・ライフスタイルに応じたコミュニケーションへ転換する
一律に「米を食べよう」と呼びかけるのではなく、体づくり、美容、健康、時短など、それぞれの生活目的に米食の価値を結び付ける。若年層にはSNSやショート動画、中高年層にはテレビやレシピサイト・アプリなど、世代や関心に応じた情報発信を展開し、スポーツ・フィットネス分野との連携も進める。また、多様なライフスタイルや食のニーズに対応するため、米粉等を使用したパンやパスタなど、米加工品の開発と訴求を推進する。
提言4 医療・栄養指導のアップデートと「大人の食育」を推進する
「カロリー削減=ご飯を減らす」といった画一的な指導を見直し、医療・保健指導の現場に最新の科学的エビデンスを反映する。さらに、企業の健康経営などとも連携し、大人を対象とした食育の機会を広げ、米食の価値への理解を深める取組を推進する。
5.今後の取り組みについて
本事業で得られた調査結果および提言については、農林水産省への報告を行うとともに、今後、以下の取り組みを通じて広く社会への普及・活用を図ります。
- 本調査の詳細レポートおよび有識者検討会提言書のウェブ公開
- セミナーやメディアを通じた調査結果・提言の普及啓発
- 食品業界・外食・中食事業者等への提言の周知
- 本事業で得られた知見の今後の事業や施策検討への活用
6.本補助事業および提言について(農林水産省)
農林水産省 農産局 穀物課 米麦消費拡大推進室 小川英伸室長コメント
「本補助事業では、生活者の米食に関する意識調査や、米食に関連する近年のコホート研究の知見などを踏まえ、有識者の皆様に活発にご議論いただき、提言として取りまとめていただきました。本事業を通じて、米の需要創造に関する課題や方向性について幅広い検討が行われ、有意義な成果が得られたものと考えています。」
※農林水産省 令和8年度「米需要創造価値推進事業」について
本事業は、米の消費量の減少傾向に歯止めをかけ、新たな米の需要創造につなげる取組を支援する農林水産省の補助事業です。中高年層をターゲットとした、米の機能性など「米と健康」に着目した調査・広報等や、若年層及び青年層をターゲットとした、食べ方に着目した調査・広報等を支援します。
日経BPは、共同事業パートナーである一般社団法人日本健康食育協会(代表理事:柏原ゆきよ氏)とともに本事業に取り組んでいます。今後、メタバース空間でのイベント、オンラインセミナー、店頭セミナーなど、様々な活動を展開していく予定です。
【本プレスリリースに関するお問い合わせ】
株式会社日経BP 総合研究所
令和8年度「米需要創造価値推進事業」事務局
E-mail:rice-project@nikkeibp.co.jp
電話:090-4072-2840 (担当・加藤)
有識者検討会からの4つの提言(詳細版)
提言1 米の健康価値を再定義する
提言
過度な糖質制限などを背景に広がった「お米=太る」というイメージを見直し、植物性タンパク質やご飯に含まれる水分、腸内環境への働きなど、米が持つ多面的な健康価値を科学的エビデンスに基づいて発信する。
主な提言内容
- 過度な糖質制限などを背景に広がった「お米=太る」というイメージを見直す。
- お米は大豆食品との組み合わせでアミノ酸スコア100となること、また、近年の研究では米タンパク質の様々な機能性について新たな知見が示されていることから、良質なタンパク質摂取源としてのお米の価値を広く発信する。
- ご飯に含まれる水分や食物繊維、食事誘発性熱産生(DIT)など、多面的な健康価値を訴求する。
- コホート研究など最新の科学的知見を踏まえ、お米の健康価値について分かりやすく情報発信する。
提言2 「朝食の空白」を新たな需要創造の機会とする提言朝食は米食需要拡大の有力な機会である。「しっかり食べる」ことだけを求めるのではなく、生活者が無理なく米を選べる環境を整え、朝食での米食機会を広げる。
主な提言内容- 朝食を米食需要創造の重点ターゲットと位置付ける。
- 「しっかり食べる」ではなく、「少量でも手軽に食べられる」米食を提案する。
- おにぎり、お茶漬け、朝粥、パックご飯の利用など簡便なメニューの普及を進める。
- 中食・外食や企業による朝食提供などと連携し、家庭内外で米を選びやすい環境を整備する。
提言3 「説得」から、世代・ライフスタイルに応じたコミュニケーションへ転換する
提言
一律に「米を食べよう」と訴えるのではなく、体づくり、美容、健康、時短など、生活目的に米食の価値を結び付け、世代や関心に応じた価値提案・情報発信へ転換する。
主な提言内容
- 「食べよう」という義務感ではなく、体づくり、美容、健康、時短など、生活目的に米食の価値を結び付ける。
- 若年層にはSNSやショート動画、中高年層にはテレビやレシピサイト・アプリなど、世代や関心に応じた情報発信を展開する。
- スポーツ・フィットネス分野との連携を強化する。
- 多様なライフスタイルや食のニーズに対応するため、米粉等を使用したパンやパスタなど、米加工品の商品開発や普及を促し、生活者が日常の中で自然に米を選べる機会を広げる。
提言4 医療・栄養指導のアップデートと「大人の食育」を推進する
提言
医療・保健指導の現場に最新の科学的エビデンスを反映するとともに、企業の健康経営などとも連携し、大人を対象とした食育を推進する。
主な提言内容
- 「カロリー削減=ご飯を減らす」といった画一的な指導を見直す。
- 学会・医療関係者と連携し、コホート研究など最新の科学的エビデンスの普及を進める。
- 栄養表示の在り方について、生活者目線での情報提供を検討する。
- 企業の健康経営などと連携し、「大人の食育」の機会を創出する。
- 関係省庁とも連携し、政策・医療・教育を横断した取組を進める。
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