与野党が「桜を見る会」追及の裏では共闘も! 「それはそれ」参議院バリアフリー予算要求で見た光景

カテゴリ:国内

  • 参議院のバリアフリー化のため補正予算案に9億円計上を求めることを決定
  • プロジェクトチーム座長の思いの背景には故吉田博美参院幹事長も
  • 追及急先鋒の共産議員「対政府の問題と参議院の中の問題は別」

与野党一致で参院のバリアフリー化推進費用として9億円を要求へ

与野党バリアフリー化推進プロジェクトチーム第2回会合(12月2日)

臨時国会の会期末まで1週間となる中、野党側は「桜を見る会」をめぐる問題で安倍首相への追及を強めている。そんな中、追及の急先鋒でもある共産党の田村智子参院議員も出席した各会派代表によるプロジェクトチームの会合で、本会議場に車いすで登壇するためのスロープを設置することなどを含めた参議院の一層のバリアフリー化を進める新たな施設整備案が取りまとめられた。

今年7月の参院選では、重度の障害があるれいわ新選組の2人の議員の当選を含め、障害を持つ議員が3人当選。その後参議院では車いす用の議席の改修や、介助サービスの費用負担、福祉車両3台の導入なども進められてきた。

国会議席の工事(7月28日)

参議院では今回、さらなるバリアフリー化を進めるため、2019年度補正予算案に約9億円の費用計上を求めていく。具体的には、本館と分館の通路の整備や、各所への昇降機の設置、車いすで利用できる多目的トイレの整備に計約6億円。参議院の正玄関のバリアフリー化や中央玄関への昇降機の設置などに約2億円、その他駐車場の整備やスロープの改修などで約1億円が必要であるとしている。

木村英子参院議員・舩後靖彦参院議員

この施設整備案は7月の参院選で初当選した、重い身体障害があるれいわ新選組の舩後靖彦、木村英子両参議院議員らの意見を踏まえて作成された。

背景に死去した吉田元参院幹事長への思いも

プロジェクトチームに所属する与野党の議員は、会合後に記者会見を行った。今回座長を務めた自民党の大家敏志参議院議員は、今年10月に死去した吉田博美元参院幹事長の特別補佐として、吉田氏の車いすを押していたこともあり、今回の施設整備推進の背景には吉田氏への思いもあるとして、次のように述べた。

会見する自民党の大家敏志参議院議員(12月2日)

「亡くなった吉田幹事長の最後の半年というのは車いす生活でありまして、その多くで、国会内を一緒に動かしていただいて、私自身も吉田先生自体も初めての経験ということで、小さな段差がものすごく車いすにとって大きいんですね。エレベーターと建物の間の小さな隙間、それから赤じゅうたんとじゅうたんがない所の段差。もう一つやっぱりトイレでした。ご自身(吉田氏)もトイレの回数を減らすために水を飲むことを控えて逆に体調が悪くなったというような場面もあったりして」

大家座長は、そう自らの経験を語ったうえで、「(参議院のバリアフリー化を)必ずやってほしい』というのがご本人の言葉でもありましたし、今回、吉田氏の墓前にいい報告ができるかなと思います」と笑みを浮かべた。

共産党の“急先鋒議員”が積極発言

一方、記者団から緊急性の高い施設整備について問われると、今度は大家座長ではなく、桜を見る会をめぐる政府への追及で一躍“時の人”となっている共産党の田村智子参院議員が割って入った。

共産党の田村智子参院議員(12月2日)

「動線って今も遠回りすれば色んな委員会室とか行けるんですけど、それを良しとするのかっていうことだと思うんですよ。他議員の動線とできるだけ同じように。私たちが遠回りするよりも負担が大きいのはわかりきっているわけですから、そこはやっぱり確保が必要でしょうっていうのは当然です」

この光景を見たとき、党派を超えて、与野党がよりよい社会や国会の実現のために、生産的な議論を行ってきたことを垣間見た気がした。大家座長は、次のように述べた。

議運委員長の元への報告(11月2日)

「ここはまた一つの通過点で、今後また不断の見直しというさらなるバリアフリーに向けて、しかも全党が一致してやれている。実は国会は少し波が高いような状況もある中で、これが出来ているっていうことこそがバリアフリーだと思いますので。第一歩として進めていきます」

また、共産党の田村氏は、今後の展望について問われ、「例えば視覚障害者の方はどうするかとか、そういうところはまだ残っている課題だ」と指摘した。

共産議員の指摘“政府追及と国会改革は別問題”

会議終了後、田村氏に、現在「桜を見る会」の問題が注目を集める中で、このバリアフリー化推進については全会派が一致して合意できたことについて取材すると「それはそれ、これはこれ。対政府の問題と参議院の中の問題は別問題だから」とはっきりと答えた。

桜を見る会の問題点について野党が追及を強める様子が注目を浴びる一方で、「社会や仕組みなど、何かをより良くしたい」という与野党の建設的な議論もあるという事実。目を引きやすい国会での対決構図ばかりではなく、こうした面にも目を向けながら、政治について伝えていくこともまた大事だと思わせる一幕だった。

(フジテレビ政治部 杉山和希)

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