水田を稲作以外の麦や豆などの生産にも活用している農家に国が支給している交付金が、不当に支給されている事例があると会計検査院が指摘した。
調査は、農林水産省が実施している水田活用の直接支払い公金事業で、2020と21年度の2年間の延べ約20万件の交付について行われた。
交付対象となる水田は、稲作を行っていることが条件だが、既にビニールハウスで覆われた畑となっていて、実質的に稲作を行うことができず、交付の条件から外れているものがあった。
また、きちんと作物が生産、出荷されていることを確認するため、農家に実績報告書の提出を求めているにもかかわらず、報告書の確認が行われていないものもあった。
さらに作物の生産量が低い場合は交付の対象にならないことから、生産量の確認も必須になっているが、確認自体が行われていないため、実際には生産量が低くなっていた事例も多くみられた。
これら支給要件に不備があるにもかかわらず支払われた交付金は、2年間であわせて134億5200万円に上ると会計検査院は指摘している。
加えて、前年より生産量が減っている場合、自然災害などのやむを得ない理由でなければ交付の対象にならないが、その理由に疑いがあるものや、地方の農政局などにより改善の指導が十分に実施されていないとの指摘もあり、これらに対しては2年間で27億8000万円近くが交付されている。
このため会計検査院は農林水産省に対して、水田が交付の対象になるかどうかの判断基準を定める必要があるほか、それぞれの水田について妥当な生産量の基準を定め確認ができるようにすること、生産量が減っている場合は、回復に向けた改善が図られやすくするような仕組みをつくることなどを勧告した。