「ラスベガス案件。1日5時間勤務。最低時給3万~。保証180万円」こんな誘い文句に乗ってアメリカ・ラスベガスに向かった女性は、現地で「仕事」を実践した。その仕事とは「売春」だ。

近年、日本人が海外に行って「出稼ぎ売春」をするケースが相次いでいる。警視庁は1月31日、アメリカで売春させる目的で女性(30代)に仕事を紹介した職業安定法違反の疑いで、3人の男女を逮捕した。

観光旅行で来たという体で…

逮捕されたのは、デートクラブ経営者の船木春香容疑者(37)、人材派遣会社役員の津崎佳子容疑者(43)、通訳の片桐寛士容疑者(40)の3人だ。

警視庁によると船木容疑者は去年3月ごろ、30代の日本人女性に「ラスベガス案件。1日5時間勤務1件~3件(最低時給3万~日本の交際案件みたいな接待になります)。保証180万円」などと伝えて、アメリカでの売春の仕事を紹介した疑いが持たれている。

デートクラブ経営者の船木春香容疑者(37)
デートクラブ経営者の船木春香容疑者(37)
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3人は女性に「観光旅行で来たという体で入国になります」とのメッセージも送っていた。

女性がこの話に乗ると、「ラスベガス担当」だった津崎容疑者が引き継ぎ、報酬など細かい仕事の条件のやり取りが始まる。

4~6時間で1000~1500ドル

警視庁によると、津崎容疑者は女性に対して「4~6時間で1000~1500ドルプラスチップと考えて頂けたらよろしいかと思います」とSNSでメッセージを送っている。

1000~1500ドルというのは、女性が実際にアメリカで売春した2023年5月前半のレート(1ドル約135円)で考えると、4時間から6時間ほどで、13万5000円~20万2500円プラスチップが稼げるという話だ。

人材派遣会社役員の津崎佳子容疑者(43)
人材派遣会社役員の津崎佳子容疑者(43)

さらに「チップは全額女性の取り分ですので、報酬と合わせて100万円を超えると判断した場合は、オーナーに預けて下さい。地下銀行で日本に送金して下さいます」とのメッセージも送信していた。

高額を稼げる上に、地下銀行も使えて、大金を持ち歩くリスクも避けられるとの誘い文句に女性は応じ、2023年5月9日女性はアメリカに渡る。もちろん入国目的は「観光」だ。

通訳の片桐寛士容疑者(40)は津崎容疑者と女性との3人のLINEグループで会話していた
通訳の片桐寛士容疑者(40)は津崎容疑者と女性との3人のLINEグループで会話していた

女性は早速ラスベガスで「仕事」を始めるが、恐ろしい事態に見舞われる。

客とトラブルになり露呈

女性は渡米初日の5月9日、早速ラスベガスのホテルに派遣され、売春をおこなった。しかし翌10日、接客や報酬を巡り客とトラブルになる。女性は現地の売春組織から脅迫され、解雇されたという。身の危険を感じた女性は、5月中旬に現地の警察に駆け込み、事態が発覚した。

資料映像 ラスベガス
資料映像 ラスベガス

アメリカの捜査機関は、「性的搾取の被害者がいる」と日本の警察当局に連絡。成田空港に到着した女性を警視庁の捜査員が保護し、事情を聞いた事が端緒となった。

サウジアラビアやシンガポールでも…

この女性は、アメリカ以外にも、過去サウジアラビアやシンガポール、フィリピンでも売春していたという。この出稼ぎ売春を斡旋したのは、今回逮捕された3人とは別のグループだ。

香港の現地メディアによると、2022年10月と2023年9月に、相次いで日本人女性が高額の売春をした容疑で摘発されている。

香港などで出稼ぎ売春する日本人女性が摘発される事例も…
香港などで出稼ぎ売春する日本人女性が摘発される事例も…

円安の影響もあるのか、SNSでは「海外出稼ぎ斡旋」のメッセージが溢れている。日本人が海外で売春するケースも相次いでおり、問題となっている。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。